ストローカルを実際に体験してみた
観光客としてストローカルはどんなメリットがあるのか。五島市と長崎市の現地において、その体験をしてみることにした。
まずは五島市。五島市内で対応しているのは基本的に観光施設や体験アクティビティといった電子チケットの購入だ。ストローカルのメニューを開くと、そこには様々なアクティビティの一覧が表示されている。そこから楽しみたいアクティビティを選んで事前に購入し、窓口でその電子チケットを見せて各アクティビティを楽しむという流れだ。
アプリ内にはこの日は、スタジオジブリでも活躍したアニメーション監督である山本二三(にぞう)美術館の入場と、椿オイルを手掛ける「椿乃」での好みの香りをオイルに加える体験、さらにSUPシュノーケリングの体験を行うことにした。
これを日程の中に組み込むことで予約も自動的に終了。ルーティングされた通りに現地へ移動し、チケットを提示するだけでいい。これなら初めての場所でも右往左往しなくて済む。
将来は九州以外のエリアへの拡大を目指す
長崎市では「ながさき観光・えらべるセットチケット」を体験した。これは複数のチケットを事前に一括購入することでお得に周遊できるというものだ。購入できるのは2〜4カ所の施設分で、それぞれ世代別の料金区分にも対応しているから、窓口で改めて入場料を計算して金銭のやり取りもなし。これは利用者が増えれば増えるほどスマートな入場につながっていくのは間違いない。
また、移動には市内を走る路面電車を使用したが、こちらも一日乗車券が使用可能。そこには利用期限が記載してあり、運転士に画面を見せるだけで下車できる。1日乗車券は紙でも発券できるが、移動中に切符の所在が不明になることもしばしば。スマホ内に入っていれば、そんな悩みも解消できる。そして、利用によって貯まったポイントに応じて、ストローカルショップでの記念グッズがもらえるのもうれしいと感じた。
このストローカルの利用料は無料(通信費は別途)。現在、提供されているエリアは、長崎市以外に、佐世保・西九州エリア、五島市の3カ所。今後は他の九州エリアとして鹿児島地区での展開を予定し、将来は九州以外のエリアにも拡大することを目指す。
また、ゼンリンとしては、利用者がストローカルを通して購入した電子チケットの売上から手数料を徴収し、利用データなどを匿名の形で外販することで、新たなビジネスモデルとして発展させていきたい考えだ。
●著者プロフィール
会田 肇(あいだ はじめ)1956年、茨城県生まれ。大学卒業後、自動車雑誌編集者を経てフリーとなる。自動車系メディアからモノ系メディアを中心にカーナビやドライブレコーダーなどを取材・執筆する一方で、先進運転支援システム(ADAS)などITS関連にも積極的に取材活動を展開。モーターショーやITS世界会議などイベント取材では海外にまで足を伸ばす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。