地図大手のゼンリンと長崎県五島市は5月16日、五島市の観光振興による地域活性化に向けて「五島市における観光DX推進に関する連携協定」締結した。ゼンリンが2022年3月より長崎市においてサービスを提供し始めた次世代移動サービス(MaaS)「STLOCAL(ストローカル)」を五島市でも活用し、地域の魅力を発信しながら観光周遊を促進する仕組み作りに役立てる。

観光がスムーズに行え充実感が増す

「STLOCAL(ストローカル)」とは、英語の「Stroll=巡る」や「Street=通り」、「Station=駅」、「Stay=泊まる」などの頭文字「St」と「Local=地域」を合わせた造語。これらをつなぎ合わせることで地域が持つ地形や歴史、文化情報を「Story=物語」として提供することをコンセプトにする観光型MaaSアプリで、ゼンリンが運営する。

その主な機能は「旅の計画」、「デジタルチケット」、「スタンプラリー」、「ポイント交換」、「旅の記録」で、これをひとつのアプリ上で完結できる。そして行動した記録や購買情報をもとに移動の見える化を地図上で展開し、さらにその行動を分析して個人に合わせた最適な情報をレコメンドすることが可能となる。

画像: ゼンリンが長崎・五島市でサービスを提供を開始した次世代移動サービス(MaaS)「STLOCAL」の画面。

ゼンリンが長崎・五島市でサービスを提供を開始した次世代移動サービス(MaaS)「STLOCAL」の画面。

長崎県には、長崎市が江戸時代の鎖国政策下で唯一西欧に開かれた窓口となっていた歴史があり、それに関する多くの観光施設や史跡が点在する。そのため、多くの観光客が訪れるが、大半がガイドブックを片手に各施設の窓口でチケットを購入し、乗り物の乗車券の支払いをその都度行っていた。それがこのストローカルを使うことで必要な公共交通機関の乗車券や施設の入場券などを電子チケットとして一括して事前に購入しておくことができる。

とくに五島列島は、世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として認定されつつも、それらは本土と直接結ぶ交通手段がない離島に多く点在するエリアだ。そのため、周遊するための移動には不便を感じる観光客が多かったのも確かだ。

それをストローカルの活用することで、島内の観光スポットの情報を得ると同時に各施設の入場券をアプリ上で事前に購入できるようになる。ゼンリンの松山稔執行役員によれば「今後はストローカルによる、陸上から海上交通に至るシームレスな移動の早期実現を目指す」という。

一方で五島市の野口市太郎市長は「地元住民は基本的に観光はしないが、情報そのものを知らないでいることが多い。ストローカルを住民にも使ってもらい、デジタル技術で地元の魅力を改めて知るきっかけにしてもらいたい」と、ストローカルが島内で浸透していくことへの期待を込めた。

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