新造船げんぶの強み
今回、記者発表会で公開されたのはステージ2の内容で、建造段階から自動運航システムを搭載する新造コンテナ船「げんぶ」の自動離着桟と運航、洋上航行中の旅客船と貨物船を陸上施設から同時に支援するという世界初の試みがお披露目された。

自動運航のコンテナ船「げんぶ」と左手前のトレーラーが陸上支援施設。
コンテナ船「げんぶ」は、一定条件下で見張り、判断、操船といった船員タスクすべてに加え、操船難易度の高い離着桟も自動化している。これは、自動車業界でいうところの自動運転レベル4に相当し、条件次第では離桟、航行、着桟までの全行程を自動で行えるという。
また、手動運航システムもレイアウトの最適化が図られており、船橋にコクピット型の操船コンソールが設置されている。乗員1名がシートに座ったまま、情報収集、操船、機関監視などを行えるコンパクト設計で、ジョイスティック型操船レバーの採用により、従来型船舶よりも操船しやすい。

シート前方に表示モニター、左右に操作パネルが配置されている。
船橋、機関部を含めた完全自動化は世界初で、新造船だからこそ船内レイアウトの段階から船員の負担軽減を考えた設計が実現したと言えるだろう。操船の簡易化で難易度が低下したことで、すでにいる船員の負担軽減と今後の人材採用の裾野を広げるねらいがある。
さらに、国内法の整備と認証取得も同時並行で進められている。国土交通省海事局と連携し、自動運航船に関する国の技術要件・検査体制が整備されたことで、国内ルール上での商用運航が可能になったほか、船舶保険や融資の前提条件となる船級も取得。商用運航開始しているという点で世界初の事例となるそうだ。
「MEGURI2040」プロジェクトの旗振り役である日本財団の海野常務理事は「造船分野では中国・韓国に差をつけられているが、自動運航システムの開発・運用では世界に大きくリードしている。今後は、日本の自動運航システムを世界標準とするべく、国際ルールの策定にも積極的に働きかけていく」と述べた。
