ぬいぐるみだと、ドライバーの「監視されたくない心理」を刺激しない
トヨタ・モビリティ基金(TMF)は、高齢ドライバーが当事者となる事故が重要な社会課題となっていることを踏まえ、高齢ドライバーの安全運転継続を支援する仕組みづくりを目指し、活動を進めている。
2022年からは、デンソーや東京海上日動火災保険らと協力し、ドライブレコーダー映像とAI解析技術を活用した運転診断「ドラみる」の実証実験を実施してきた。同実験では、自分の運転を客観的に知ることで運転習慣が一定程度改善することが確認された一方、運転行動を評価されることや映像を記録されることに対する抵抗感が課題として浮上していた。
この課題に対してTMFは、直接的な運転評価ではなく、間接的な評価が抵抗感を緩和する可能性を考察した。「大切な人が同乗していると丁寧な運転を心がける」という心理を基に、「守りたい存在がリスクのある運転に反応して望ましくないアクションをとる」というアイデアを構築。通常時は寝息を立てながら眠り、リスクのある運転を感知すると目を覚まして鳴き声を発する猫型ロボット「ドラにゃむ」の制作につながった。

助手席に同乗するドラにゃむ。
2025年11月から12月にかけて実施した実証実験では、65歳以上の高齢ドライバー7名と運転歴の浅い20~30代のドライバー5名が数日間「ドラにゃむ」を使用した。その結果、高齢ドライバーからは「ひとりではない感覚があった」「愛着が湧いた」などの反応が寄せられ、守りたい存在として認識される可能性が確認されたほか、「安全運転を意識するようになった」「いつもより丁寧な運転をした」という安全運転促進効果も見られた。
また、運転歴の浅いドライバーのうち普段1人で運転することが多いドライバーからは、「自然な存在感がちょうど良い」、「運転への集中が高まった」などポジティブな評価を得られたという。

キュートな猫型ロボットなので、愛着が自然と湧きやすいのもメリットである。
TMFは、今回得られた結果やコメントをもとに「ドラにゃむ」の改良を継続するとともに、このアイデアの持つ可能性や社会への価値提供方法について検討を進めていくとしている。
今回のぬいぐるみタイプのロボットによる運転評価の試みは、高齢ドライバーの安全運転支援に向けた新たな可能性を示すものであり、今後の動向が注目される。
【参画企業と役割】
TMF:プロジェクト全体企画(実証主体)・実証実験計画・体験利用者募集
quantum:プロジェクト全体企画・ドラにゃむ制作・実証実験支援
デンソー、東京海上日動:ドラにゃむ仕様検討支援・実証実験支援

