2025年10月24日、日野は国内初の燃料電池大型トラック量産モデル「日野プロフィア Z FCV」を発売する。同製品はトヨタとの共同開発モデルで、航続距離650kmを確保し、燃料充填時間は15~30分と実用性が追求されている。

水素社会実現への一歩となる量産水素トラック

国内貨物自動車のCO2排出量の約6割は大型トラックが占めており、環境性能向上が課題のひとつとなっている。

商用車の電動化においては、高い環境性能だけでなく、業務車両としての実用性との両立が求められるため、走行距離や積載物、稼働シーンなどに応じて適材適所で最適なパワートレインを採用していくことが重要である。

日野はこの「マルチパスウェイ」の方針に基づいて、走行中のCO2排出量削減に取り組んでおり、とくに幹線輸送に使用される大型トラックには、十分な航続距離と積載量、そして短時間での燃料供給が求められるため、水素を燃料として発電する燃料電池車が有効であると判断した。

2023年には「日野プロフィア Z FCV」の走行実証車を製作し、アサヒグループジャパン、西濃運輸、トヨタ自動車、NEXT Logistics Japan、ヤマト運輸と共同で、物流業務における実証実験を実施。のべ40万kmを超える走行実績を積み重ねてきた。

「日野プロフィア Z FCV」は、大型トラック「日野プロフィア」を基盤としてトヨタ自動車と共同開発されたモデル。耐久性と信頼性を確保しつつ、燃料電池車専用設計のシャシを採用することで荷台スペースと積載量の最大化を追求している。

パワートレーンにはトヨタ「MIRAI」に使用されているFCスタックを大型商用車向けに改良したものを2基搭載し、日野独自の電動車技術と走行制御を組み合わせた。水素充填時間は15~30分で、航続距離は650kmと幹線輸送に十分な性能を持つ。

画像: 実証実験時のプロトタイプ車における燃料電池システムおよび高圧水素タンクのようす。

実証実験時のプロトタイプ車における燃料電池システムおよび高圧水素タンクのようす。

さらに、量産工場である古河工場でディーゼル車と同じラインで混流生産することで、FC車の普及期を見据えた効率的な製造体制を構築している。

車両の販売は2025年10月24日からフルメンテナンスリース方式で行われる。導入時のコストや月々の支払いが明確となるほか、安定した稼働環境を提供することで顧客のビジネスを支援するねらいがあるという。また、当面は「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」を中心に展開する予定だ。

日野自動車は、今回の燃料電池大型トラックの市販化を通じて、カーボンニュートラルの推進と水素社会の実現に貢献し、持続可能な社会の構築を目指していくとしている。

【主要諸元 日野プロフィア Z FCV】

車両タイプ高床3軸大型FCEV
パワーユニットトヨタFCスタック(固体高分子形)
モーター交流同期電動機
駆動用バッテリーリチウムイオンバッテリー
全長×全幅×全高11990×2490×3780mm
車両総重量25t
乗車定員2名
燃料高圧水素(70MPa)
タンク高圧水素タンク(6基)、搭載水素量 50kg
航続距離(社内測定値)650km

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