ホンダが北米・欧州でラストワンマイル配送事業に進出、専用の電動アシストマイクロモビリティ「イークアッド(eQuad)」も公開アメリカン・ホンダモーターが、新たなマイクロモビリティベンチャー事業として法人向けに「ファストポート(Fastport)」を発表した。併せて、専用の電動アシストマイクロモビリティとなる「イークアッド(eQuad)」の実車プロトタイプも公開。イークアッドは米国・オハイオ州のホンダ・パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センターで2026年後半に生産が始まる予定としている。

北米・欧州で専用マイクロモビリティによるラストワンマイル配送事業に進出

ホンダが、ラストワンマイルの配送ビジネスに参入する。といっても、当面は北米および欧州エリアでの話なので日本市場での展開については未知数だ。去る2025年6月、ホンダの米現地法人であるアメリカン・ホンダモーターは、ラストワンマイル配送事業として「Fastport(ファストポート)」を発表、併せてその業務に用いられるユニークな電動アシストマイクロモビリティ「Fastport eQuad(以下、イークアッド)」を、ドイツ・フランクフルトで開催された世界的な自転車見本市「Eurobike(ユーロバイク)」で公開した。

日本では いわゆるラストワンマイル配送を担う車両といえば軽商用車が挙げられるが、一方で軽自動車規格が存在しない海外では小型のバンが用いられている。小型と言ってもそこそこの大きさであり、とくに都市部では頻繁に発生する渋滞に巻き込まれたり細街路への進入が限られるなど課題も多い。それゆえ、荷物の到着に遅延が発生したり、そもそも1日の配達量に限界があったりと、スピードや効率の面で多くの課題を抱えている。

画像: 「イークアッド」は自転車レーンの走行を前提に開発されたひとり乗りのマイクロモビリティ。

「イークアッド」は自転車レーンの走行を前提に開発されたひとり乗りのマイクロモビリティ。

そこでホンダが開発したのが「イークアッド」。北米や欧州で整備されている自転車レーンの走行を想定した、ひとり乗りの配送用マイクロモビリティである。ライダーがペダルを漕ぐ力をベースにしながらも、ペダル操作を電子的に動力に変換するペダル・バイ・ワイヤ方式を採用するとともに、ペダル操作そのものを電力で補助するペダルアシスト駆動システムを搭載。

イメージは「大きな電動アシスト自転車」だが、人力を最小限に抑えたユニークな4輪マイクロモビリティである。回生ブレーキシステムも搭載してエネルギー効率を高め、オートブレーキホールド機能も搭載されている。なお、動力源にはおなじみの「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」が採用されており、バッテリー交換を容易にするとともに、配送業務の効率化も図る。

画像: 狭い路地などにも進入できる新しい乗り物。ラストワンマイル配送が大幅に効率アップする。

狭い路地などにも進入できる新しい乗り物。ラストワンマイル配送が大幅に効率アップする。

車両本体、および荷物用のラゲッジボックスは、北米・欧州それぞれの市場ニーズに応じて大型と小型の2タイプを用意する。また車両全長をカスタマイズすることも可能で、さまざまな配送用途や道路事情に対応するとしている。

ありそうでなかった新ビジネス。日本仕様にアレンジして国内でも展開できそう

ホンダのファストポートは、車両の提供にとどまらず、ラストワンマイル配送業務の包括的なサービスを提供する。バッテリーや貨物ボックスなどの充実した保守・メンテナンス体制を備えるほか、車両の稼働状況やバッテリー残量、走行データを把握することができ、配送業務・管理業務の効率化に貢献する。加えて、ソフトウエアの自動アップデート(OTA)により、継続的に機能の向上も図るという。

画像: 運行状況を始め車体の保守・メインテナンスほかトータルなサービスを提供するのがホンダの新規事業が「ファストポート」。

運行状況を始め車体の保守・メインテナンスほかトータルなサービスを提供するのがホンダの新規事業が「ファストポート」。

イークアッドは、アキュラの高性能車やCR-V e: FCEVの生産で知られる米国・オハイオ州のPMC(Performance Manufacturing Center)で、2026年夏から量産が始まる予定。つまり、ファストポートの本格的な事業展開も同時期に始まると考えて良さそうだが、すでに北米および欧州の大手物流・配送会社とパイロットテストプログラムを行っているとのこと。車体サイズや法規の課題はあるが、日本仕様として国内でも実現すると面白いと思うのだが。

画像: サイズなど法規をクリアすれば日本でも導入できそうな予感。

サイズなど法規をクリアすれば日本でも導入できそうな予感。

eQuad(プロトタイプ) 主要諸元

■車両本体サイズ
・大型モデル:全長3650×全幅1200×全高2100mm
・小型モデル:全長3400×全幅1000×全高2100mm
■貨物ボックスサイズ:
・大型モデル用:長さ2389×高さ1525×幅1216mm
・小型モデル用:長さ1910×幅975×高さ1460mm
■最大積載量
・大型モデル:295kg
・小型モデル:145kg
■最高速度
・両モデル共通:20km/h
■最大積載時航続距離
・大型モデル:最大約37km(積載量により変動)
・小型モデル:未公開
■電動アシスト動力源
・両モデル共通:Honda Mobile Power Pack e:×2つ
※サイズや重量などのスペックはすべて北米仕様の数値を換算したもの

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