SDV化によって実現する次世代の安全技術。クルマはもっと安全な乗り物に
そんな次世代EVに世界初採用される技術のひとつが、このほど発表された「マルチアダプティブセーフティベルト」。乗員の身長、体重、体型、着座位置などや個人プロファイルをセンシング、さらにエアバッグ、乗員検知、ADASとシームレスに連携することで衝突に備えて最適な拘束性能を発揮する世界初の技術だ。しかもその制御はOTAによって更新される。つまり、SDVという設計思想によって初めて可能になった安全技術だと言える。

たとえば、身体の大きな乗員は頭部外傷のリスクを減らすために、より高いベルト負荷が与えられる。一方、軽度の衝突では、小柄な乗員の肋骨骨折のリスクを減らすために、ベルトの負荷を軽減する。衝突の方向、速度、乗客の姿勢など固有の状況を瞬く間に分析し、その情報をシートベルトに伝えるのだ。まさにすべての乗員に適した「あなただけのシートベルト」である。しかも、その制御アルゴリズムは日々蓄積されるデータにより、きめ細かくアップデートされてOTAによって更新される。
「これは、1959年にボルボが発明し、100万人以上の命を救ったと推定される最新の3点式安全ベルトの大幅なアップグレードを示しています。世界初のマルチアダプティブセーフティベルトは、自動車の安全性にとって新たなマイルストーンであり、さらに何百万人もの命を救うという野心を持ってリアルタイムデータを活用する方法の好例です(ボルボ・カーズ・セーフティ・センターの責任者であるオーサ・ハグランド氏)」。

「業界をリードするクラッシュラボでは、ボルボ・カーズの安全エンジニアがほぼすべての交通事故を再現し、実際の安全に関する規制要件を超えるテストを実施することができます。この多機能施設は、ボルボ・カーズが自動車の安全性のリーダーとしての地位を維持するために不可欠なものでした(同)」。
マルチアダプティブセーフティベルトは、「EX60」を皮切りに今後登場するSPA3アーキテクチャー採用車に順次採用されていく。SDV化によってADASなど利便性の向上だけでなく、安全性もさらに高めることができることを表明したボルボ。その安全性能の追及は、とどまるところを知らない。



