中国市場にフォーカスしながら、海外輸出も視野に入れた新しいクルマづくりを再建の柱のひとつに掲げる日産。その第1弾モデルとして東風日産と共同開発した「N7」が、発売から1カ月余で1万7215台の受注を獲得した。ここ数年、中国市場で苦戦が続いていた日産だが、起死回生策の第1弾で幸先の良いのスタートを切ることができた。そのヒットの理由を探ってみる。

クルマづくりの潮目が変わってきたことを端的に象徴

ここ数年、さまざまな分野で「グローカル」という言葉を目にする機会が増えてきた。グローバル(世界規模)とローカル(地元・地域)を掛け合わせた造語・概念であり、地球規模で考えながらも地元視点で行動することを指す。自動車業界においても、とくに中国市場においてその独自性が深く認識されるようになっている。

日産は日本で開発した内燃機関車であるシルフィやティアナ、エクストレイルなどを、ほぼそのまま中国市場で販売するというスキームから抜け出せず、苦戦が続いていた。現地で急激に進む電動化、知能化の波に乗り遅れてしまったのである。

そんな日産と東風日産は手を携え、「in China, for China, to Global」というスローガンを掲げて製品開発を進めている。中国で中国のために開発し、さらには海外への輸出も視野に入れて作り込んだ新世代グローカルモデル、その第1弾が「N7」だ。ちなみに企画がスタートしたのは2022年というから、3年足らずで企画から発売までこぎ着けたことになる。

都市部に暮らすヤングファミリーのニーズにこだわったパッケージ

「N7」のターゲットは中国東海岸の都市部に暮らすヤングファミリー層だ。車両価格やEV性能に敏感であるものの、絶対的な動力性能や運動性能ではなく最新テクノロジー(ADAS性能、コネクティビティといったインターフェイス)や快適性を重視する嗜好が強い。そしてなにより、家族への気配りを最優先する。

画像: 15.6インチの巨大なモニタースクリーンは2.5Kの解像度を誇る。

15.6インチの巨大なモニタースクリーンは2.5Kの解像度を誇る。

そこで日産および東風日産が導き出したのが、最先端の運転支援システムやAI技術を搭載しつつ、使い勝手の良いミドルサイズセダンをリーズナブルな価格で提供するパッケージだ。中国自動運転技術大手のMomentaと共同開発したE2E(End to End)のNOA(Navigate on Autopilot)、DeepSeekによるAIアシスタンスほか、ハイエンドEV/PHEVに搭載される知能化技術を手ごろな車両価格で提供する。

画像: Momenta社と共同開発したNOA(Navigate on Autopilot)により高速道路と市街地をシームレスに運転支援する。

Momenta社と共同開発したNOA(Navigate on Autopilot)により高速道路と市街地をシームレスに運転支援する。

さらに、家族全員が満足できる広く快適な室内を実現。インテリアから「角」を徹底的に排除して、子どもがはしゃいでも怪我しないラウンドした形状が採用されている。また、昨今注目されている車載バッテリーの安全性にも抜かりはない。東風日産のサイトでは、SOC 100%のバッテリーに直径8mmの釘を4本打ち込み、72時間経過しても発火しない様子が公開されている。

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