中国市場にフォーカスしながら、海外輸出も視野に入れた新しいクルマづくりを再建の柱のひとつに掲げる日産。その第1弾モデルとして東風日産と共同開発した「N7」が、発売から1カ月余で1万7215台の受注を獲得した。ここ数年、中国市場で苦戦が続いていた日産だが、起死回生策の第1弾で幸先の良いのスタートを切ることができた。そのヒットの理由を探ってみる。

日産×東風日産の知見から誕生した「日産ブランド初のSDV」

そしてなにより、「N7」は日産ブランド車初の本格SDVであるという点にも注目しておきたい。車載OSに「NISSAN OS」、セントラルE&Eアーキテクチャーを採用し、そこにmomentaのADAS、DeepSeek-R1、HUAWEIのHiCARほか、地元の最先端テック企業によるさまざまな知能化技術が搭載されている。ドライバーズシートには、OTAによるアルゴリズム更新で常時最適かつ快適な環境を提供する「ゼロプレッシャーシート」を採用しているのも、SDV化の恩恵のひとつだろう。

画像: 日産ブランド初の車載OS「NISSAN OS」によるSDV。インフォテインメントシステムには演算能力60TOPSを誇るQualcommの高性能SoC「Snapdragon 8295プロセッサー」を採用。

日産ブランド初の車載OS「NISSAN OS」によるSDV。インフォテインメントシステムには演算能力60TOPSを誇るQualcommの高性能SoC「Snapdragon 8295プロセッサー」を採用。

ターゲット層が本当に必要なものだけを搭載して価格を抑える

「N7」は4月27日に発売された。驚かされたのはその車両価格だ。グレードラインナップは5つで構成され、航続距離540kmの「510Air」は11.99万元(およそ239万円)、最上位グレードとなる「625Max」でも14.99万元(およそ299万円)だ。より上位のプレミアムセグメントに匹敵する装備内容ながら、駆動方式を前輪駆動のみに絞り込み、ADASセンサーから高価なLiDARを省くなど、なにかと物入りな都市部のヤングファミリーでも手が届きやすい価格設定を実現している。

「N7」グレード構成(グレード名:航続距離/車両価格の順)
・510Air:540km/11.99万元(およそ239万円)
・510Pro:525km/12.99万元(およそ259万円)
・625Pro:635km/13.99万元(およそ279万円)
・510Max:510km/13.99万元(およそ279万円)
・625Max:625km/14.99万元(およそ299万円)

このクラス、装備、性能でこの価格設定は、EVの大幅な値引きに慣れた中国でも驚異的だったようで、現地メディアも盛んに報じていた。

「N7」は日産と東風日産が命運をかけて開発した次世代NEV(新エネルギー車=EV/PHEV)シリーズの第1弾であり、2025年にはラダーフレーム構造のプラットフォームを採用したPHEVのピックアップトラック「Frontier Pro(フロンティアプロ)」の発売も控えている。

画像: 2025年後半に登場する新世代NEVシリーズの第二弾「Frontier Pro」

2025年後半に登場する新世代NEVシリーズの第二弾「Frontier Pro」

「N7」「Frontier Pro」ともに将来の海外輸出を計画しており、その実現によって新しい日産の「グローカル戦略」が加速する。2027年夏までには前述2車も含め9車種を発売するというから、そのスピード感たるや凄まじい。

東風日産では今後、ファーウェイのスマートコクピットソリューションである「Harmony OS」の採用も検討しており、momentaはじめ現地の主要テック企業と連携したよりハイエンド指向のEVの開発にも注力していくようだ。

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