中国ファーウェイ(HUAWEI/華為技術有限公司)が自動車業界で急速に存在感を高めている。なかでも車載OSやADAS領域では、地場の自動車メーカーのみならず、あのトヨタでさえ中国市場向けEVに採用するほど。さまざまな理由からその正体がいまひとつ謎めいている中国巨大テック企業の現在を俯瞰してみよう。(タイトル画像:Maextro S800のスマートコクピット)
「Maextro S800」は中国EV初の自動運転レベル3 ADASを搭載
現時点で、ブランド連合「HIMA」の最新モデルとなるMaextro S800は、その価格(中国車としては異例に高価)とともに、中国EVで初となる自動運転レベル3のADASを搭載したことでも注目を集めている。

ライバルはメルセデス・マイバッハとロールスロイス。ファーウェイの最新テクノロジーをフルスタックで搭載。
いまや中国のミドルレンジクラスに搭載されるADASは、出発地から目的地まで高速道路/市街地まで連続してナビゲートする、いわゆる「END TO END(E2E)」が主流。これもファーウェイが先駆けて実用化した「ADS2.0」であり、ドライバーの常時監視が必要だという点でハンズオフの自動運転レベル2だ。
これに対して、ハイエンドクラスのS800に搭載されるADASは最新の「ADS4.0」。中国車初の自動運転レベル3であり、「アイズオフ」が可能になった。現時点で詳細は不明ながら、ADS2.0や3.0と同じくE2Eも実現できると推測する。LiDARも含めて32個の外部センシング機能を搭載するほか、刻々と変化する路面状況もセンシングして車体の姿勢を一定に保つ技術など、異次元のテクノロジーが満載されている。

最新ファーウェイ・テクノロジーのフルスタック。中国EV初の自動運転レベル3(アイズオフ)を実現した。
現地の富裕層ニーズがここにある。欧州3大ブランドや超プレミアムブランドが中国市場で苦戦していることが伝えられている昨今だが、いま現地で求められているのはブランドのバッジではなく、S800のような先進テクノロジーであることを象徴している。その立役者とも言うべき存在がファーウェイなのだ。



