2025年3月12日、トヨタは同社の掲げるマルチパスウェイ戦略を堅持しつつ、欧州におけるEVシフトを加速させラインナップを拡充すると発表した。2025年中に欧州市場へ投入する新型EVとして「トヨタ C-HR+」を世界初公開したほか、大幅に改良された「トヨタ bZ4X」、新技術を数多採用した「レクサス RZ」も公開。2026年までに投入される新型EVのロードマップや、新たなEVネーミング戦略にも言及するなど、欧州市場のEVシフトを強く印象付けた。

C-HRのネーミングを採用するも中身は別物「C-HR+」

今回の発表の目玉といえるのが、新型BEV専用車である「C-HR+」。C-HRのファミリーという位置づけながら、その中身はむしろbZ4Xに近い。コンセプトモデルは2023年4月に開催された上海モーターショーで「トヨタスポーツクロスオーバーコンセプト」として公開され、2025年に欧州市場に投入されることが明言されていた。

開発はトヨタとBYDが中国に設立した合弁会社、BYD Toyota EV Technology Co. Ltd.(BTET)が担当。中国市場向けに独自の内外装と装備を与えた「bZ3C」はすでに2024年4月に開催された北京モーターショーで公開されている。

「C-HR+」は上述のとおり、プラットフォームはbZ4Xと同じくe-TNGAを採用。bZ4Xとアーバンクルーザーの中間、Cセグメント車という位置づけだ。C-HRを彷彿とさせるクーペライクなスタイリングながら、bZ4Xに迫る室内空間と416Lのラゲッジスペースも実現している。欧州発売は2025年後半。

画像: C-HRのネーミングを採用するも中身は別物「C-HR+」

【トヨタ C-HR+欧州仕様 主要諸元】
・全長×全幅×全高:4520×1870×1595mm
・ホイールベース:2750mm
・駆動方式:FWD/AWD
・バッテリー容量:57.7kWh(FWD)/77.0kWh(FWDロングレンジ/AWD)
・システム最大出力:123kW(FWD)/165kW(FWDロングレンジ)/252kW(AWD)
・航続距離:455km(FWD)/600km(FWDロングレンジ)/525km(AWD)
・0→100km/h加速:8.6秒(FWD)/7.4秒(FWDロングレンジ)/5.2秒(AWD)

内外ともに大幅に進化した「bZ4X」は日本でも2025年秋登場か

一方、トヨタ初の本格量産EVとして登場したbZ4Xも大規模なマイナーチェンジを実施して欧州市場に投入される。EVパワートレーンはC-HR+と共用しながらも、充電を高速化するバッテリープレコンディショニングを初搭載して差別化も図られる。

航続距離が現行型比で最大約70km延伸される。22kWの車載充電器(欧州仕様のオプション)や、EVに特化したインテリジェントなルートプランニングを提供するソフトウエアアップデートも提供する。欧州発売は2025年後半から。日本でも2025年秋に発売される可能性が高い。

画像: 内外ともに大幅に進化した「bZ4X」は日本でも2025年秋登場か

【トヨタ bZ4X欧州仕様 主要諸元】
・全長×全幅×全高:4690×1860×1650mm
・ホイールベース:2850mm
・駆動方式:FWD/AWD
・バッテリー容量:57.7kWh(FWD)/73.1kWh(FWDロングレンジ/AWD)
・システム最高出力:123kW(FWD)/165kW(FWDロングレンジ)/252kW(AWD)
・航続距離:445km(FWD)/573km(FWDロングレンジ)/520km(AWD)
・0→100km/h加速:8.6秒(FWD)/7.4秒(FWDロングレンジ)/5.1秒(AWD)

ステア・バイ・ワイヤシステムほか最先端技術を採用する「レクサス RZ」

一方、レクサス RZは新グレード「RZ550e F SPORT」を投入。併せてメカニズムの刷新にも注力した。モーターの高出力化、航続距離の延伸(最大20%向上)、バッテリープレコンディショニングによる充電時間のさらなる短縮に加え、ついにレクサスでは初となる「ステア・バイ・ワイヤシステム」が採用された(「F SPORT」に設定)。電気信号によってタイヤの動きを制御することで、中立位置から左右約200度の範囲でハンドルを持ち換えることなくあらゆるシーンで操作が可能となる。

さらに、操る喜びをさらに高める「インタラクティブマニュアルドライブ(Interactive Manual Drive)」を新採用(「F SPORT」に設定)。8段の仮想有段ギアをもち、アクセル開度と車速、さらにパドルシフトで選択した仮想ギヤ段に応じて駆動力を自在にコントロールできる。単に疑似エキゾーストノートを轟かせるのではなく、マニュアルシフトを再現した新技術である(「F SPORT」に設定)。2025年秋以降、順次各地域で発売を予定している。

画像: ステア・バイ・ワイヤシステムほか最先端技術を採用する「レクサス RZ」

【レクサス RZ550e F SPORT欧州仕様 主要諸元】
・全長×全幅×全高:4805×1895×1635mm
・ホイールベース:2850mm
・駆動方式:AWD
・バッテリー容量:76.96kWh
・システム最高出力:300kW
・航続距離:450km
・0→100km/h加速:4.4秒

トヨタ/レクサスは2026年以降も世界の国と地域に新型EVを続々投入する計画だ。なかでも欧州では、2035年に一部を除く内燃機関搭載車の販売終了を控えている。当面はハイブリッド車販売を主軸に据えながらも、B/C/Dのコアセグメントを中心にEVモデルを続々と投入していくだろう。それら新型EVは、当然、日本市場にも投入されるはず。未知のEVに思いを馳せるのもまた楽しい。

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