2025年からいよいよ本格的に電動化攻勢に転じる
“これまで積み上げてきた技術資産を有効に使った新しいハイブリッド・システム”を開発していることは2022年11月の「2030経営方針」発表時に伝えられていた。そしてその初めての搭載車が次期CX-5であることは2024年5月に開催された「2024年3月期 決算説明会」でごく簡単ではあったが初めて発表されている。今回はこの新たなハイブリッド技術を他のラインナップにも拡大していくと説明された。
かつてマツダは、自社のSKYACTIVエンジンにトヨタのストロングハイブリッドシステム(THS II)を組み合わせたアクセラ(マツダ3の前モデル)を販売したことがあった。現在は、マイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドのラインナップ。中国および北米でCX-50にストロングハイブリッド車が設定されたが、こちらはエンジン本体も含めてトヨタ製だ。次期CX-5から搭載が始まる新しいハイブリッドは、エンジン、ハイブリッドシステムともにマツダ製になる。
ハイブリッドシステムの詳細について説明はなかったものの、トヨタとは異なる独自のハイブリッドであることは間違いない。果たして、“積み上げてきた技術資産を有効に使った”ハイブリッドとはどんな仕組みなのか。4気筒エンジンとの組み合わせで次期CX-5に搭載された後に他のスモール商品群にも搭載される可能性が高く、また技術要素は6気筒直列エンジンを搭載するラージ商品4車種への拡大も検討中だ。
2030年までには独自のハイブリッドシステムがほとんどの内燃機関搭載車に展開され、マツダがめざす「電動化マルチソリューションラインナップ」の一角を占めることになる。
さらにCX-5については追加情報として、「現行モデル対比で約60%の種類数削減」、「購入部品を現行モデル対比6%の原価効率化」などが打ち出された。製造原価の低減はもちろん、仕様を絞り込むことでユーザーが選択しやすいラインナップに改める。またパーツを生産工場近郊で生産する方式を採用し、輸送コスト削減による原価低減を目指すとのこと。つまり、次期CX-5は価格の上昇を抑制し、かつグレード構成もシンプルになると予想される。
EV専用プラットフォームはPHEVへの対応も可能に
また2027年に投入されるEVモデルについても補足があった。2022年の計画発表時にはEVに特化したプラットフォームを開発するとされていたが、新たにPHEVにも対応できるよう一部設計の見直しを行っている模様だ。
早々にEV一本足打法に切り替えた欧州メーカーが、現在のトレンドに対応できずに慌てている様子をみれば賢明な判断だといえる。もっとも、EVそのものは2027年の市場投入スケジュールに変更はない。同時に内燃機関を搭載したPHEVモデルがラインナップされる可能性も高まってきたということだ。