新世代メルセデス・ベンツEVの第一弾が登場
メルセデス・ベンツが次世代車の第一弾として開発中の「新型CLA」をサプライズ公開した。お披露目されたのは、「イエール国際フェスティバル(フェスティバル・ドゥ・イエール」という世界的なファッション/アートイベントの会場だ。このイベントは今回で39回目を数え、若手デザイナーの登竜門として関連業界では広く知られている。メルセデス・ベンツはこのイベントに長年協賛してきたが、今回の新型CLAは想定外の登場と言えるだろう。
イベントは10月10日から13日まで開催。新型CLAは、メルセデス・ベンツ・ブースの一角に象徴的に展示されていた。昨年のフランクフルトモーターショー(IAA2023)でコンセプトモデルが次世代SDVの第一弾として公開されて以降、EVをめぐる環境が激変してその動向が取りざたされてもいたが、当初の計画どおり、2025年に発売されることが今回改めてアナウンスされたのは朗報だ。
展示された新型CLAは、ごく軽い偽装が施されているものの、市販車の姿をイメージするのはさほど難しくないほどあっさりとしている。ボディサイズは現行CLAよりもわずかに大きくなっているようだ。ちなみにIAA2023のコンセプトカーは、全長4740(現行型比プラス50mm)×全幅1950mm(同120mm)だが、そこまでは大きくなっていないだろう。
全体のフォルムはほぼコンセプトカーを踏襲しているものの、だいぶ大人しくなった印象だ。ヘッドランプとリアコンビランプのデザインも若干異なる。コンセプトカーのような半円型前後ランプのスリーポインテッドスターは確認できないが、次世代メルセデスフェイスと言われる、半円型ランプの形状は採用されている。
今回、インテリアの様子や市販モデルのスペックは明らかにされなかったが、IAA2023やCES2024で公表された情報も交え、数カ月後と言われる正式発表時の姿を予想してみよう。
まずはEVがデビュー、PHEVはやや遅れて発表に
土台となるプラットフォームには、新開発の「MMA(Mercedes-Benz Modular Architecture)」が初採用される。EVだけでなく、HV/PHEVにも対応可能、かつさまざまな車両タイプ/サイズ、さらに駆動方式に展開できる柔軟性のあるプラットフォームだ。次世代のメルセデス・ベンツ車の多くがこのプラットフォームを使うことになる。
上述のとおり、EVとPHEVがラインナップされるが、前者は2025年に、後者はやや遅れて発表される見込みだ。EV、PHEVともに派生車種としてシューティングブレークやSUVが追加されるという情報もあり、今後のメルセデス・ベンツのメイン車種となることが期待される。
改めてEVモデルの情報をまとめてみよう。IAA2023では175kW(238ps)のモーターによって駆動されるとアナウンスされており、市販モデルもほぼ同等の性能が実現されるだろう。800Vアーキテクチャーを採用し、満充電時の航続距離は750km、250kW級の高速充電器を使えばわずか15分で400kmの航続距離が回復できると謳っている。もちろん、V2HやV2Gなどいわゆる双方向充放電機能も搭載される。市販モデルでは、さらなる性能向上に期待したい。
SDV化の進展に合わせてオペレーティングシステム「MB.OS(New Mercedes-Benz Operating System)」も新世代へ。仕向け地にもよるが、ADAS/ADSはレベル2++(いわゆる市街地ADAS)、レベル3(アイズオフが可能)、そして近い将来にはライバルの動向にあわせて一部地域でレベル4(限定付き完全自動運転)に対応する可能性はある。いずれの場合も、OTA(オーバー・ジ・エア)でのバージョンアップに対応している。
一方、やや遅れて登場すると言われるPHEVモデルは、4気筒ガソリンエンジンとモーターの組み合わせだ。エンジンやモーターのスペックは不明だが、航続距離はEVよりも長くなることは間違いない。
また正式発表に間に合うかは不明だが、EVバージョンにはAMGも準備が進められている。こちらは前後モーターを採用したAWDになり、大容量バッテリーを組み合わせて、現行型CLA45 AMGよりもパワフルな500psを超える最高出力を発生するとのこと。専用の前後フェンダーや大ぶりなリアスポイラーが採用されるほか、豪華なインテリアもトリムも採用されるだろう。
目下、パリではパリモーターショーが絶賛開催中だが、同じ国内でメルセデス・ベンツのサプライズがあったのは想定外だった。正式発表は数カ月後、早ければ年内にも詳細が明らかになるはずだ。