2024年9月17日、ロータスカーズはセンターハンドル3シータークーペのEVコンセプトカー「セオリー1(Lotus Theory 1)」を公開した。ここに盛り込まれたデザインや機能などは、近い将来に完成するEVラインナップの基礎になるという。

初代エスプリの雰囲気をまとうコンセプトモデル

ロータスが80周年を迎える2028年の完成を目標として、グローバル パフォーマンス テクノロジー ブランドへと向かっていくEV戦略「ビジョン80」。2022年10月にハイパフォーマンスSUVの「エレトレ」を皮切りに、2023年9月に4ドアGTの「エメヤ」が相次いで登場して、EVラインナップは1年に1モデルのペースで完成へと向かっている。そして今回、将来発表されるモデルたちの基礎となるコンセプトカー「セオリー1」を公開した。

ボディ構造と一体化しているシートはセンターにひとつ、その少し後方の両サイドにパッセンジャーシートをふたつ並べた3シータースポーツカーだ。ドライバーズシートの前方につき出した操縦桿のような形状のハンドルは、まるで宙に浮くようにレイアウトされている。これは車軸とハンドルを切り離して電子制御するステアバイワイヤにより実現しており、ステアリングギア比や速度、重さも調整できるとしている。

画像: シート位置は固定されているが、ペダル位置を変えることでドライビングポジションを調整する。

シート位置は固定されているが、ペダル位置を変えることでドライビングポジションを調整する。

また4つのLiDARと6つのHDカメラ、そして長距離/短距離のミリ波レーダー、超音波センサーを組み合わせたことでクルマの周囲360度、最長200m先までを監視。NVIDIA DRIVEコンピューティングによって自動運転レベル4を実現している。

このほかにも、3Dプリンターを活用した格子構造のヘッドレストには、ノイズキャンセリング機能を備えたバイノーラルオーディオシステムが内蔵されてドライバーの集中力を高める一方で、レコーディングスタジオの中央に座っているかのような臨場感あるサウンド空間を実現するという。

こうしたデジタル機能に加えて、アナログ機能を採用して調和させているというが、ここでいうアナログとはロータスのDNA、レーシングテクノロジーではないかと読み取れる。

EVであっても変わらず通用する技術、例えばリアのアクティブスポイラーや床下のNACAダクトといった空力性能、カーボン繊維やガラス繊維などを起用する軽量化技術、名機といわれたF1マシン「ロータス49」からヒントを得たプルロッドサスペンションなど、長年にわたってロータスが車両開発で培ってきたあらゆるダイナミクス性能が、今後登場するであろうEVたちにも投入されるはずだ。

画像: セオリー1に採用された最新技術は今後登場する市販EVに採用されていくという。

セオリー1に採用された最新技術は今後登場する市販EVに採用されていくという。

また、セオリー1の大きな特徴になっているのが左右ドアの開閉システムだ。一見リアヒンジの跳ね上げ式ドアのようにも見えるが、実はルーフ後方のアームがドアをうしろへ引っ張り上げるようにスライドさせる、独自のスポーツカードアシステムを採用する。ドアを開いた状態の占有面積を小さくすることにより、狭いスペースでも乗員3人がスムーズに乗降できる構造なのだという。

パワートレーンの詳細は明記されていなかったが、システム合計1000psを発生するモーターにより4輪を駆動して最高速は320km/h、0→100km/h加速は2.5秒。全高が1140mmとハイパフォーマンスカーらしい低さを実現するためか、バッテリー容量はエレトレ(112kWh)やエメヤ(102kWh)と比較すると控えめな70kWh。それでも研ぎ澄まされた空力性能や、EVとしてはかなり軽量な1600kg(未満)という車両重量もあって、走行可能距離はWLTP複合で402kmを実現するという。

このセオリー1の実車が公開されたとき、2L直4エンジンをリアミッドに搭載する「ロータス エスプリ(初代・1976年)」も展示されていたようだ。両車を見比べてみると強く傾斜するフロントノーズや、リアエンドをスパッと切り落としたような形状、前傾したリアピラーなどデザイン的な共通点はいくつか見られる。

セオリー1は市販を前提としないコンセプトモデルではあるが、ロータスのスーパースポーツ エスプリの復活を期待せずにはいられない。

画像: セオリー1とともに展示された初代ロータス エスプリ。

セオリー1とともに展示された初代ロータス エスプリ。

ロータス セオリー1(コンセプト) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4490×2000×1140mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1600kg未満
●モーターシステム最高出力:1000ps
●モーターシステム最大トルク:−
●バッテリー総電力量:70kWh
●WLTPモード航続距離(総合):402km
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前265/35R20、後325/30R21

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