ポールスターの高性能グレード「BST」の方向性を示す1台
1990年代にボルボ車をベースにレースマシンを開発するワークスチューナーとして名を馳せたポールスターは今、独自のEVを開発/販売する電動車ブランドとなっている。
もともとボルボとの関係が強かった生い立ちもあって、2019年に発表された2モデル「ポールスター1」と「ポールスター2」はボルボテイストの濃いデザインだったが、2022年以降にデビューしたSUVの「ポールスター3」と「ポールスター4」は一転して独自路線に転換。この方針は今後も変わらず、2025年に登場するであろう4ドアセダンの「ポールスター5」は、直線的でシャープなデザイン的個性をまとったプロトタイプがすでに公開されている。
そして2024年7月11日、イギリスで開催されたグッドウッド フェスティバル オブ スピードに電動オープンボディの「ポールスター6」が登場した。
「6」は2022年にコンセプトモデルとしてすでに公開済みだ。セダンのポールスター5に採用されたアルミニウムプラットフォームを短縮して構成された2+2シートの電動ロードスターは、独自開発によるふたつのモーターで650kW(896ps)/900Nmを発生するパワートレーンを搭載。これにより0→100km/h加速は3.2秒、最高速は320km/hに達することが公表されている。
L字型のデイタイムランニングライト4つを組み合わせたフロントマスク、エッジを効かせた前後のフェンダーライン、大きなくびれを作っているボディサイドの造形など、画像からもわかるとおり紛れもなく「6」だが、ポールスターの発表によるとこのモデルは「コンセプトBST」だという。
BSTの名称は「2」の限定車として以前に登場したこともあるハイパフォーマンスグレードで、野獣:BEASTの意味を持つ愛称としてつけられている。同社のトーマス・インゲンラートCEOは「ポールスターのパフォーマンスブランドをどこまで押し上げられるか、また将来的にBSTシリーズをどのようなラインナップにするかを示すデモンストレーションでもあります」とこのコンセプトモデルの存在意義について語っている。
外観を標準モデルと見比べてみると、ルーフ後端から生えている2枚構造のリアウイングやボンネットフードのエアアウトレット、大きくフレア加工された前後フェンダーなど、そのパフォーマンスの誇示するかのようなデザインが取り入れられている。
ポールスターというと「鮮やか水色(シアン)」を思い浮かべる人も多いと思うが、このボディカラーは吉利汽車のレーシングチーム「シアン・レーシング」が引き継いでいることもあり、新生ポールスターでは黄色(ゴールド)をレーシングカラーとして取り入れている。
コンセプトBSTはクラシカルなシルバーのボディカラーとして、エアアウトレットやシートベルト、リアウイングやブレーキキャリパーなどにアクセントカラーとして黄色を採用する。ただ、今回はパワートレーンやシャシの剛性強化など詳しい情報は公開されていないため、続報に期待したい。