欧州や北米市場でのEV販売不振により、欧米メーカーの電動化計画の撤回、あるいはその見直しが相次いでいる。ボルボは2030年までに全ラインナップのEV化を宣言していたが、去る2024年9月4日(現地時間)、ついにその計画が撤回されたと各種メディアが報じた。だが、公表されたリリースや現地で5日に開催された投資家向けイベントの内容を見る限り、ボルボはEVシフトを鈍化させるのではなく、むしろSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)化を加速させていることが見えてきた。(タイトル写真は併売されるXC90(PHEV)[左]とEX90(EV)>

PHEVとMHEVをEVシフトの橋渡しとして開発/販売継続

EVシフトの目標達成を断念する動きが、欧米でドミノ倒しのように顕在化してきている。いずれも各社が掲げていた目標達成スケジュールを撤回し、当面はEVの開発と並行してPHEV(プラグインハイブリッド)やマイルドハイブリッド(MHEV)などの開発/販売を継続する戦略に続々とシフトしている。

2030年に全車EV化する計画を打ち出していたボルボも、例外ではなかったようだ。去る9月4日(現地時間)、同社は市場ニーズや関税問題などの変化に対応するため、電動化の目標スケジュールを調整することを発表した。もっとも、2040年に温室効果ガスの排出を正味ゼロにする計画は不変であり、完全な電気自動車会社になる目標には変わりはないとしている。

具体的には、2030年までに全世界の販売台数のうち90〜100%をEVとPHEVの組み合わせで達成、残る0〜10%は状況に応じてMHEVも残すとしている。つまり、市場が十分に成熟したタイミングでラインナップの完全電動化へ舵を切る柔軟な戦略に変更したわけだ。したがって、PEHVやMHEVの開発は “EVへの橋渡し”として今後も継続していくという。事実上の計画撤回ではあるものの、資料をもう少し読み進めていくと、ボルボのEV化計画は、むしろより先鋭化していくことがわかる。

画像: 現在のボルボの稼ぎ頭となっている「EX30」。親会社でもあるGeelyのSEAプラットフォームがベース。

現在のボルボの稼ぎ頭となっている「EX30」。親会社でもあるGeelyのSEAプラットフォームがベース。

ちなみにボルボは現在、EV専用モデルを5車種(EX40、EC40、EX30、EM90、EX90)をラインナップしており、同社の総販売台数のうち26%を占めている。プレミアムセグメントでEV比率がもっとも高いのがボルボなのだ。さらに、間もなく最新モデルとなるラージEVセダン「ES90」も発表予定だ。

画像: EX90と多くを共有する「ES90」はS90の後継にあたるオールエレクトリックのラージセダン。PHEVのS90も併売される可能性がある。(写真はES90のティーザー)

EX90と多くを共有する「ES90」はS90の後継にあたるオールエレクトリックのラージセダン。PHEVのS90も併売される可能性がある。(写真はES90のティーザー)

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