パワーユニットの強力さだけではないエネルジカの魅力
関東地方を中心に日本各地でオートバイ用品の量販店を展開するナップスは近年、部品販売だけでなく人気絶版モデルの中古車販売、高付加価値の部品開発、そして海外ブランドの電動アシスト自転車や電動バイク、特定小型原付を販売するなどさまざまな事業を展開している。
今回発表された「エネルジカ」の発売もそのひとつで、取扱店舗を神奈川県川崎市にあるナップス モトテラス 東名川崎に限定して2024年9月14日から展示、販売されることになる。
エネルジカが本拠を置くイタリア・エミリア=ロマーニャ州モデナはフェラーリやマセラティといったスーパーカーブランドにゆかりがあり、自動車工場が点在するためイタリアンモーターバレーとも呼ばれる地域。そんな環境で生まれたエネルジカもまた、ハイスペックな電動スポーツバイクを生み出すことを目標にしている。
日本でこそブランドの知名度はまだ高くないが、世界最高峰のバイクレースMotoGPと併催される電動バイククラス「MotoE」のワンメイク競技車両として、2019年〜2022年シーズンに供給した実績を持ち、そうした高性能モデルの開発技術力を市販車に投入している。2024年の東京モーターサイクルショーにも出展されていたので知っている人もいるだろう。
現在のラインナップは4つあり、フルカウルのスーパースポーツ「Ego+」とそのネイキッド版ともいえるストリートファイター系の「Eva Ribelle」、このふたつはより高出力なパワートレーンを採用した高性能モデル。一方、アドベンンチャーバイクの「EXPERIA」とネイキッドの「EsseEsse9+」は比較的スタンダードなモデルといえる。「比較的」とはあくまで高性能モデルと比べての話だ。
そもそもEgo+とEva Ribelleは169ps/222Nmを発生する新開発のEMCEモーター&インバーターを搭載。大容量バッテリーを搭載する電動バイクは車両重量も重くなるのが一般的で、この2モデルも例に漏れず、エンジンを搭載したリッタースーパースポーツより60kgほど重い260kgとなっている。それでも0→96km/h加速は2.6秒、最高速は240km/hに制限されるというまさにスーパースポーツモデルらしいスペックを誇る。
この高性能モデルと比較してしまえば、EsseEsse9+とEXPERIAはスタンダードモデルとなるが、それでもEsseEsse9+は107ps/207Nm、EXPERIAは100ps/115Nmと十分すぎるパワースペックを持つ。
いずれの4モデルも共通することは一充電走行距離が長いということだ。クルマと違ってバッテリー搭載スペースが限られる電動バイクは走行可能距離も短くなりがちだが、エネルジカは21.5〜22.5kWhの大容量バッテリーを搭載して複合モードで約257km(市街地:約420km/郊外:約209km)を実現している。急速充電の、しかもCHAdeMO方式に対応しているので高速道路を移動中に充電残量が減っても、SA/PAで充電できる航続能力を持ち合わせている。ちなみに、運転するには大型二輪免許(AT限定以上)が必要となる。
エネルジカ ラインナップ
EsseEsse9+:495万円
Experia:522万円
Eva Ribelle:539万円
Ego+:571万円
エネルジカ Ego+ 主要諸元(海外仕様)
●全長×全幅×全高:2139×867×1166mm
●ホイールベース:1466mm
●シート高:810mm
●車両重量:260kg
●最高出力:126kW(169ps)
●最大トルク:222Nm
●バッテリー総電力量:21.5kWh
●航続距離:複合257km/市街地420km/郊外209km
●タイヤサイズ:前120/70ZR17・後180/55ZR17
●前ブレーキ:ブレンボ製4ピストンキャリパー/330mmダブルディスク
●後ブレーキ:ブレンボ製2ピストンキャリパー/240mmシングルディスク