中型バイクをベースにしたがゆえに余裕ある大柄な電動バイク
2024年1月から販売されることになったカワサキの電動バイク2車種は、フルカウルのスポーツタイプ「Ninja e-1」とネイキッドタイプの「Z e-1」とスタイリングは大きく異なるものの、いずれも道路運送車両法の第二種原動機付自転車(一般的には原付二種と呼ばれる)に分類されるバイクだ。
原付二種の法定速度は一般道で60km/h、また2人乗りできて、二段階右折をしなくてもいいなど、街中でよく見かける50ccの原付(第一種原動機付自転車)とは運用面で異なる点も多い。また、自動車保険のファミリーバイク特約で任意保険をカバーできるというメリットもある。
ただし、AT小型限定普通二輪以上の二輪免許を必要とし(普通自動車運転免許は不可)、高速道路をはじめとする自動車専用道路を走れないなど注意も必要だ。
一般的に原付二種といえばコンパクトなボディを思い浮かべるかもしれないが、今回登場した2モデルの全長は1980mmと比較的大柄で、400ccクラスの中型バイクに匹敵する堂々としたサイズ感となっている。
実際、カワサキの中型バイクZ400をベースにしたトレリス(トラス)フレームを採用し、またフロントやシートのカウルなどのボディデザインでの共通性も見受けられる。同様に400ccクラスのブレーキやサスペンションなどの機能も採用しているため、走行の爽快感を存分に楽しむこともできるという。
両モデル、CEV補助金の対象車
このボディにモーターと2つの専用バッテリーを搭載する。ガソリンバイクの燃料タンクにあたる部分に収められたバッテリーの容量は合計約3kWh(1.51kWh×2)で、53〜55kmの航続距離(60km/h定地走行テスト値)を実現している。
充電にあたってはバイクにケーブルを接続、またはバッテリーを外して家庭用コンセントから接続することもできる。1個あたりの充電時間は、0%→100%のフル充電で約3.7時間、20%→85%の部分充電で約1.6時間だから、通勤・通学のために走って夜間に充電すると言う使い方は問題なくこなせそうだ。
搭載するモーターの最高出力は原付二種相応の12psとなっているが、翻って最大トルクは中型バイク並の40Nmを発生。135kg〜140kgという軽量なボディ、電気モーターらしい低速域でのレスポンスの良さ、そして大トルクによる力強い加速感を味わえるはずだ。
最高速度や電費、航続距離の違う走行モード「ROADモード」と「ECOモード」を選択できる一方で、加速と最高速を約15秒間向上させる「e-boost機能」を搭載。ROADモードで使用すれば最高速度は105km/hまで向上(Ninja e-1)するという。
電動バイクらしい特徴的な機能がリバースだ。スロットルを全閉からさらに奥へ戻すように捻ると約3km/hでゆっくりと後退でき、同じく採用されているウォークモード(約5km/h)で前進と併用することで、駐車をはじめとする狭い場所での取り回しを向上させてくれる機能だ。
ブラシレスモーターを採用することによる高い静粛性を持ちながら、スポーツモデルらしい走行性能を実現するNinja e-1(106万7000円)とZ e-1(101万2000円)は次世代自動車振興センターの補助金(CEV補助金)対象車となる。自治体によっては補助金の額は異なるが、たとえば東京都に住民票があるとCEV補助金12万円+東京都電動バイク普及促進事業補助金46万円で、合計58万円の交付を受けることができる(2023年12月8日現在)。
カワサキ Ninja e-1 主要諸元
●全長×全幅×全高:1980×685×1105mm
●ホイールベース:1370mm
●シート高:785mm
●車両重量:140kg(バッテリー含む)
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:9.0kW(12ps)/2600-4000rpm
●最大トルク:40Nm/0-1600rpm
●バッテリー総電力量:1.51kWh×2
●航続距離:55km(60km/h定地走行値・ROADモード)
●タイヤサイズ:前100/80-17M/C・後130/70-17M/C
●車両価格(税込):106万7000円
カワサキ Z e-1 主要諸元
●全長×全幅×全高:1980×730×1035mm
●ホイールベース:1370mm
●シート高:785mm
●車両重量:135kg(バッテリー含む)
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:9.0kW(12ps)/2600-4000rpm
●最大トルク:40Nm/0-1600rpm
●バッテリー総電力量:1.51kWh×2
●航続距離:53km(60km/h定地走行値・ROADモード)
●タイヤサイズ:前100/80-17M/C・後130/70-17M/C
●車両価格(税込):101万2000円