2024年8月16日、ゼネラルモーターズ(General Motors Company)はキャデラックブランドからラグジュアリースポーツクーペのEVコンセプトカー「オピュレント・ベロシティ(Cadillac Opulent Velocity)」を発表した。

ハイパフォーマンスモデル「V」シリーズの血統を受け継ぐ

100年に1度と言われるほどの変革に見舞われる中、自動車メーカーの多くが電動化に向けて舵を切り、実際に多くの地域でEV販売台数は拡大している。ただ、電動化へ向かう勢いはやや急加速気味だったこともあってか、2024年に入ってから踊り場に差しかかった感もある。とはいえ、2024年のEV世界販売台数は2023年(約1400万台)と同程度か、あるいはそれ以上になるのではないかと予測されている。

一方、2023年のEV世界市場の中で10%のシェアを持つアメリカは、2024年以降も拡大傾向が続くという。その原動力となるのがアメリカビッグ3の一角であるGMで、ピックアップトラックのGMC シエラEVやSUVのシボレー エクイノックスをはじめとする、複数の新型EVの販売がスタートしているからだ。

GMのラグジュアリーブランドであるキャデラックもまた、EVラインナップを拡大している。EV専用の新型プラットフォーム&バッテリー「アルティウム」を採用して、2022年にすでに販売をスタートしたリリックに加えて、2023年にはエスカレードIQとビスティックを、また2024年にはオプティックといった大型SUVたちを相次いで発表。順次発売されることになる。

画像: CTS-VやCT5-VなどのVシリーズと同様、キャデラックのラグジュアリー感はそのままにハイパーカーならではのスリルを提供するとしている。

CTS-VやCT5-VなどのVシリーズと同様、キャデラックのラグジュアリー感はそのままにハイパーカーならではのスリルを提供するとしている。

こうしてSUVがズラリと並んだキャデラックのEVラインナップだが、2024年8月16日に公開された新型EVのコンセプトモデルは、バタフライドアを採用した2+2シータークーペで、スーパーカーと呼べるほどに幅広で、地を這うような低いスタイリングを持つ。

プレスリリースによると「ラグジュアリー・パフォーマンスの究極の表現」という二律創生を実現するゼロエミッションのハイパーカーで、モデル名はビスポーク ラグジュアリーの「贅沢(Opulent)」と、キャデラック レーシングの血統が引き継ぐ「疾走感(Velocity)」をかけ合わせた「オピュレント・ベロシティ」。

自動運転レベル4による自律走行機能、安らぎと休息を促すモードを備えたフルワイドスクリーンディスプレイと拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR HUD)が採用され、ハンズフリーによるオピュレント(贅沢な)体験を生み出すとしている。

またサーキット走行を視野に入れたベロシティモードでは、HUDスクリーンに表示される「ゴーストカー」機能を使用することでドライバーがラップタイムを向上させたり、指定したコースで仲間と競い合うことができるという。

オピュレント・ベロシティのスタイリングについて、同社のデザインマネージャーであるマガリー・ドゥベリ氏は「ハイパーカーの個性とラグジュアリーなデザインとの融合をコンセプトとして、モータースポーツの力強いデザインからインスピレーションを得て、2+2シーターのエアロダイナミクスボディを実現しました」と語っている。

プレミアムブランドにとって、その威信を示すという意味においてなくてはならない存在だと言われるフラッグシップ ラグジュアリークーペ。キャデラックは電動化社会においてもラグジュアリーカー市場を牽引していくという強いメッセージを、オピュレント・ベロシティに込めたのではないだろうか。今後登場してくるであろうプロトタイプ、市販モデルへの展開に期待がかかる。

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