2024年8月17日(日本時間)、アウトモビリ・ランボルギーニはカリフォルニア州で開催された「モントレー・カー・ウィーク2024」で、3基のモーターとV8ツインターボエンジンを組み合わせたPHEVシステムを搭載するハイパースポーツカー「テメラリオ(Temerario)」を世界初公開した。

これでフルラインハイブリッド化計画を達成

ランボルギーニが電動化プログラム「コル・タウリ(CorTauri)」を発表したのは2021年5月のこと。計画によれば、2024年末までにラインナップ全車のハイブリッド化を完了し、2026年〜2030年に同社初のフル電動モデル(EV)を投入するのが目標だ。

ハイブリッド化の第一弾として2023年4月に発表されたのが、PHEVシステムを搭載したハイパースポーツカー「レヴエルト(Revuelto)」。3基のモーターと6.5LのV12気筒エンジンを組み合わせてシステム総出力1029psを発生する新時代のフラッグシップモデル。アヴェンタドールの後継モデルという位置づけだ。

さらに今年4月にはPHEVのウルスSEも登場。今回発表された「テメラリオ(Temerario)」は3基のモーターと4LのV8ツインターボエンジンを組み合わせており、V10エンジンを搭載したウラカンの後継モデルとして位置づけられる。つまり、ランボルギーニのラインナップはすべてハイブリッド化されることになり、コル・タウリ計画は早くも目標を達成したことになる。

画像: レヴエルト、ウルスSEに続く新電動ラインナップの第3弾、ハイパーカーシリーズでは第2弾となる「テメラリオ」。

レヴエルト、ウルスSEに続く新電動ラインナップの第3弾、ハイパーカーシリーズでは第2弾となる「テメラリオ」。

V8エンジンでV10並みのパフォーマンスを実現

新世代のV8ハイパースポーツPHEVは、いかにもランボルギーニらしい出で立ちで登場した。ひと目でわかる独特のデザインは過去のモデルのDNAを継承しつつ、新たに6角形をデザインコンセプトとして採用。メインボディ、サイドエアインテーク、テールライト、エキゾーストパイプ、そしてフロントのデイタイム・ランニング・ライトなどが、新しい時代のランボルギーニ車であることを主張している。

画像: ランボルギーニ製ハイパースポーツカーのDNAを継承しつつ6角形を全体のデザインモチーフに採用した革新のフォルム。

ランボルギーニ製ハイパースポーツカーのDNAを継承しつつ6角形を全体のデザインモチーフに採用した革新のフォルム。

注目のパワートレーンは、新開発された超高回転型V8ツインターボエンジン、そしてトランスミッションとエンジンの間に置かれたモーター1基、前輪左右にそれぞれ配置されたコンパクトなモーターユニット(e-axel)で構成されている。システム最高出力は920psだ。

同社は“これまでの自然吸気V10エンジンの優れたリニアリティと感動をモーター駆動アシストによる新しいV8エンジンとして実現した”とコメントしている。なお、エンジン本体の最高回転数は量産V8としては異例の1万rpmまで許容されており、最高速は340km/h、0→100km/h加速は2.7秒を達成している。

画像: リッター200psを発生する新開発のV8ツインターボエンジンは最高1万rpmを許容する超高回転型ユニット。

リッター200psを発生する新開発のV8ツインターボエンジンは最高1万rpmを許容する超高回転型ユニット。

ボディには新設計のアルミ・スペースフレーム構造を採用する。数々の新技術を採用することで、ウラカンよりもねじり剛性が20%以上向上したうえ、PHEV化にもかかわらず車重の増加を最小限(およそ270kg増)に抑え、かつ居住スペースを大幅に拡大することにも成功している。

画像: 全長4706×全幅1996×全高1201mm 、ホイールベースは2658mm。ウラカンよりわずかに大きくなったがサイズ感はそのまま。重量もおよそ270kg増に抑えられている。

全長4706×全幅1996×全高1201mm 、ホイールベースは2658mm。ウラカンよりわずかに大きくなったがサイズ感はそのまま。重量もおよそ270kg増に抑えられている。

さらに新開発のコンフォートシートも採用し、サーキットのみならず、日常やロングドライブも快適に楽しめるハイパースポーツに生まれ変わった。もっとも、サーキット走行に特化したトリム(アレジェリータパッケージ)も選択可能とするところは、いかにもランボルギーニである。

また、最高級の素材で仕立てられるコクピットには「パイロット・インタラクション」と名付けられたHMIが搭載され、ドライバーとコ・パイロットがそれぞれ運転情報や車両機能、さらにエンタテインメントやナビゲーションの操作ができるようになった。

画像: ウラカン比でヘッドルームは34mm 、レッグスペースは46mmそれぞれ拡大し、視界も4.8度広がった。ヘルメットを着用した身長200センチのドライバーでもサーキットを快適に走行できる。

ウラカン比でヘッドルームは34mm 、レッグスペースは46mmそれぞれ拡大し、視界も4.8度広がった。ヘルメットを着用した身長200センチのドライバーでもサーキットを快適に走行できる。

次のステップはブランド初の完全EVモデル

アンベールに際して、アウトモビリ・ランボルギーニ のステファン・ヴィンケルマンCEOは次のように語った。

「ランボルギーニの新型車はすべて、性能面で先行車を凌ぐと同時に、排出ガスの観点からはより持続可能でなければなりません。テルメリオは、電動化への道となるコル・タウリ計画における重要な章を締めくくるものです。また、私たちは完全ハイブリッド車を提供する最初のラグジュアリーカー・ブランドとなります」

コル・タウリ計画における最後のピースはブランド初のEVモデルだ。その登場は、2026年以降に予定されている。最大のライバルであるフェラーリもほぼ同時期にEVの投入を予定しているようだ。とは言え、欧州や北米ではEVシフトの停滞も囁かれている。果たしてハイパースポーツカーの未来はどうなるのか。興味は尽きない。

【主要諸元 ランボルギーニ テメラリオ】
・ボディサイズ:全長4706×全幅1996※×全高1201mm ※サイドミラーを除く数値
・ホイールベース:2658mm
・車両重量:1690kg
・駆動方式:AWD
・搭載エンジン:L411型V8ツインターボ
・エンジン排気量:3995cc
・エンジン最高出力:800ps/9000-9750rpm
・エンジン最大トルク:730Nm/4000-7000rpm
・システム最高出力:920ps
・駆動用モーター:前2基(e-axel)/後1基
・バッテリー種類/容量:リチウムイオン/3.8kWh
・トランスミッション:8速DCT
・ブレーキ:前カーボンセラミックディスク+10ピストンキャリパー 後カーボンセラミックディスク+4ピストン
・タイヤサイズ:前255/35ZR20 後325/30ZR21
・最高速:343km/h
・0→100km/h加速:2.7秒

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