中国の新興プレミアムEVブランド「ジーカー(ZEEKR)」が、2025年内に日本上陸を検討していることが明らかになった。2024年8月13日付の日本経済新聞によると、同紙の取材に対しジーカーの陳禹副総裁は2025年内に日本および韓国市場に進出する計画を進めていることを明らかにした。日本市場においては、まず東京/関西/東海にショールームを開設するとともに、2026年早期の納車開始に向けて国内法適合などの手続きを進める方針だ。実現すれば、国内メーカーはもとより日本で事業展開している海外ブランドへの影響も予想される。(タイトル写真は「ジーカー X」)

プレミアムEV路線で独自の存在感をアピール

ジーカーは知る人ぞ知る中国吉利汽車傘下のプレミアムEVブランド。吉利汽車は、ボルボ、ポールスターやロータスなど日本でお馴染みのブランドを傘下に置くが、2021年に独自のプレミアムEVブランドとしてジーカーを立ち上げた。

シューティングブレークの「001(2023年11月にハイパフォーマンスモデルの001FRを追加)」、そしてラージMPVの「009」、コンパクトSUVの「X」、そして今年1月から発売が開始されたミッドサイズセダン「007」とすでに4車種を発売。いずれも高性能バッテリーと強力なモーターの組み合わせによる圧倒的なパフォーマンスと、贅を尽くした内外装と装備、さらにNoA(Navigation on Autopilotいわゆる市街地ADAS)も一部車種にいち早く導入を開始するなど、最新のテクノロジーを満載している。

中国のEVブランドというと、とかく価格競争力ばかりに焦点が当てられがちだが、ジーカーはあくまでクオリティと性能にこだわるプレミアム路線を堅持しており、中国現地での販売価格も決して安くはない。ゆえに中国都市部の富裕層から圧倒的な支持を得ており、今年6月度には月販2万台を超えるほどに成長している。

またブランド創成期から、欧州、中東、メキシコ、タイほかグローバル展開を重要な戦略に位置づけており、今後はオーストラリア市場への参入(2025年)を計画している。日本および韓国市場への参入にも時間の問題だったとは言える。2024年5月にはニューヨーク証券取引所にも上場を果たしている。

コンパクトSUV「X」とラージMPV「009」がまず上陸か

日本に上陸するのはコンパクトSUVの「X」とラージMPVの「009」だという。ただし、009はかなり大型なので国内導入は見送られる可能性もある。むしろ、技術的フラッグシップでもあるミッドサイズセダン「007」、もしくはそのSUVバージョンとも言える「7X(2024年後半現地発売予定)」となる可能性のほうが高い。

【ZEEKR X】
ボルボEX30とアーキテクチャーを共用。すでにタイでも右ハンドル仕様の発売も始まっており、日本市場導入のハードルは低い。全長4450×全幅1836×全高1572mm、ホイールベース2750mmとサイズ的にはレクサスNXよりややコンパクトだ。

画像: 「ZEEKR X」

「ZEEKR X」

【ZEEKR 009】
去る7月19日にバージョンアップを実施し、一部グレードに800Vアーキテクチャーを採用したほか最新NoAも搭載。同時に右ハンドル市場である香港でも正式に発売が開始された。香港ではHKD755,000(約1425万円)〜で販売される。全長5217×全幅2024×全高1812mm、ホイールべースは3205mmと巨大。6人乗りと7人乗りをラインナップしている。

画像: 「ZEEKR 009」

「ZEEKR 009」

【ZEEKR 007】
2024年1月に発売開始された最新モデルでありブランド初のミッドサイズ ラグジュアリーセダン。800Vアーキテクチャー、NoAによる最先端のADASシステム、リアアンダーボディにギガキャストを採用する。全長4880×全幅1900×全高1448mm、ホイールベース2928m。

画像: 「ZEEKR 007」

「ZEEKR 007」

【ZEEKR 7X】
2024年末までに中国での発売開始が予定されている期待のニューモデル。全長4825×全幅1930×全高1656mm、ホイールベース2925mmのミッドサイズSUVであり、セダン007の兄弟車的な位置づけ。搭載されるテクノロジーもほぼ同等だ。テスラ モデルYの強力なライバルになると予想されている。

画像: 「ZEEKR 7X」

「ZEEKR 7X」

実店舗販売か、それともオンライン販売か?

気になるのは、日本市場でどのような販売方法を採用するかという点だ。日本独自のCHAdeMO規格への適合は難しくないと思われるが(すでにボルボEX30でノウハウの蓄積有り)、どのような販売方法を採用するのか。先行するBYDは、日本市場の特性に合わせて実店舗網の整備に余念がない。オンライン販売を続けてきたテスラも、最近ではショールームの開設に力を入れるようになってきた。さて、ジーカーが思い描く青写真はいかなるものだろうか。まずは今年第4四半期に予定しているショールームの開設を期待して待ちたい。

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