2024年8月6日、BMW AGは自動車生産工程の一部にヒューマノイド(人型ロボット)を用いるテストを行ったことを発表。ロボティクス企業Figureが開発した新型の「Figure 02」を、アメリカ・サウスカロライナ州にある工場に試験導入したという。BMWとFigureによるデータ収集と開発は今後も続く。

新型「Figure 02」の発表とともに試験導入を開始

2024年1月、ヒューマノイドがカプセル式コーヒーメーカーで1杯のコーヒーを淹れる動画が公開されて話題となっていた。産業用ロボットのように、動き方を事前にプログラミングされていたのであればそれほど話題にならなかっただろうが、ここで登場したロボットFigure 01は、搭載されたAI(人工知能)が10時間の映像を見て淹れ方を学習、みずから動作を微調整してコーヒーを提供したのだ。

このヒューマノイドを開発したのはアメリカ・カリフォルニア州のロボティクス企業Figureで、製造や物流といった労働力不足が深刻な業界の課題解決に向けた開発を行っている。OpenAIとの提携、マイクロソフトやエヌビディアといった世界的なテック社が巨額の投資を行うなど注目を集めている。

自動車業界ではBMWグループも同社と提携して製造工場にヒューマノイドを導入する方針を示しており、今回、Figureが2024年8月6日に新型となる「Figure 02」を発表するとBMWもアメリカ・サウスカロライナ州にあるスパルタンバーグ工場での試験導入に成功したことを発表した。

画像: 人と同じような形状だからこそ、現在の生産システムにヒューマノイドを組み込むメリットがある。

人と同じような形状だからこそ、現在の生産システムにヒューマノイドを組み込むメリットがある。

前型比で3倍の情報処理能力を持ち、カメラやマイク、センサー、稼働5時間を実現するバッテリーを搭載したFigure 02は、コードや骨格がむき出しだった従来モデルとは異なり腕や腰などは外殻で覆われていてる。高さは約170cm、重さは70kg、片手には16の可動部があり、最大20kgのものを持つことができる。また、人間のように両手作業を自律的に実行し、さまざまな大きさ、重さの部品をミリメートル単位の精度で配置したり、二足歩行により運搬することもできる。

スパルタンバーグ工場で行われた数週間にわたる試験運転でFigure 02は、シャーシ組み立ての一部を担い、運ばれてきた金属板部品を固定具に挿入する作業を行なったという。

BMW AG生産管理委員会のミラン ネデリコビッチ氏は、「ロボット工学の分野の発展は非常に有望です。初期のテスト運用した結果から、現在、生産分野でヒューマノイドを応用する可能性を検討中です。私たちは、この技術を開発から産業化までサポートしたいと考えています」と語った。

画像: 音声通信、6つのカメラ、マイク、センサー、バッテリーを搭載するFigure 02。

音声通信、6つのカメラ、マイク、センサー、バッテリーを搭載するFigure 02。

ただ、試験を終えたいまスパルタンバーグ工場にFigure 02はなく、同工場でFigureロボットを導入する具体的なスケジュールも決まっていない。今後はFigureと協力して、将来の生産現場に備えるためのデータ収集と調査結果に基づいた開発に取り組んでいくとしている。

自動車生産においても自動化が進んでいる現在、AIによって稼働する二足歩行のヒューマロイドが有用なのか、必要なのか、BMWだけではなく、メルセデス・ベンツやテスラなどいくつかのメーカーが試験を行っている。自動車工場における作業員の肉体的負担の軽減、危険作業からの回避、労働力不足の解消など、ヒューマロイドが労働環境改善に向けた技術となるのだろうか。

まだ検証中の技術だがひとつ言えるのは、人間が行ってきた作業の現場は人間が使うことを前提に設計されているため、人型のヒューマロイドにとって作業しやすい環境はすでに整っており、導入しやすいということだろう。

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