2024年7月10日(現地時間)、トヨタは2024年2月にホンダ、GM、BMW、メルセデス・ベンツ、ヒョンデ、キア、ステランティスのメジャープレイヤー7社によって設立された高出力EV充電ネットワーク事業合弁会社「IONNA(イオンナ)」に参加・出資することを発表した。

ついにトヨタが動いた。北米急速充電網が8社連合に

2023年前半、北米でビジネスを展開する自動車メーカー各社が、テスラが開発した充電規格「NACS」の採用を相次いで発表。北米におけるEV急速充電ネットワークは今後テスラの独占状態になると多くのアナリストが予想した。これに反旗を翻したのが、先に紹介した7社だ。いずれもNACS規格の採用を表明しながらも、協力して独自の充電ネットワークを展開する合弁会社の立ち上げを表明したのだ。

それが「イオンナ」である。当初は2023年末の事業開始を予定していたが、当局の認可取得など調整に時間がかかり、正式な会社設立は2024年2月10日にずれ込んだ。もっとも事業計画に遅滞はなく、今夏より米国内で独自の充電ステーションの開設を開始し、2030年までに少なくとも3万基の高出力急速充電器の配備を目指している(すでに各社が独自に設置を進めている急速充電器を含む)。

イオンナの急速充電器は、NACS(North American Charging Standard:いわゆるテスラ規格)と、従来から米国内で利用されてきたCCS(Combined Charging System)のどちらの充電方式にも対応した、いわゆるデュアルガン方式を採用する。充電器のスペックは明らかにされていないが、250kW級の出力を備えていることは間違いなさそうだ。また、NACSに対応していないメーカーや車種でもアダプターなしで利用できる。

イオンナ設立発表時には、すでにNACS採用を発表していたトヨタが参加していないことを訝る声があったようだが、ようやく世界ナンバーワンメーカーが参加を表明したことで、イオンナの充電ネットワーク整備にさらなる弾みがつくのは間違いない。

画像: 7社のメジャープレイヤーが顔をそろえた設立時のイオンナ。トヨタの参加で8社合弁となったが、まだ未参加のフォルクスワーゲングループや日産などの動向も気になる。

7社のメジャープレイヤーが顔をそろえた設立時のイオンナ。トヨタの参加で8社合弁となったが、まだ未参加のフォルクスワーゲングループや日産などの動向も気になる。

トヨタも北米初のEV現地生産に乗り出す

トヨタは現在、北米向けEVとしてトヨタbZ4XとレクサスRZの2車種を販売しているが、2025年から26年にかけて、フル電動の新型3列シートSUVを2車種、現地で生産開始する計画だ。また、トヨタとレクサスを合わせて30車種もグローバル展開する計画も発表している。今回のイオンナ参加には、その地ならし的な目的もあるだろう。

画像: 2025年にケンタッキー州のトヨタ・モーター・マニュファクチュアリング(TMMK)で生産開始が予想されている「ランドクルーザーSe」。北米現地生産では初のEVで3列シートの大型SUVだ。

2025年にケンタッキー州のトヨタ・モーター・マニュファクチュアリング(TMMK)で生産開始が予想されている「ランドクルーザーSe」。北米現地生産では初のEVで3列シートの大型SUVだ。

今回の発表に際して、トヨタ・モーター・ノースアメリカの社長兼CEOであるテッド・オガワ氏は以下のコメントを発表している。
「米国とカナダ全土にDC急速充電器を展開するためのIONNAの支援を発表できることを嬉しく思います。これにより、BEVの普及が促進され、この技術に対する顧客の信頼が高まるだけでなく、トヨタとレクサスの顧客は、北米で急速に成長しているIONNAの充電ネットワークにアクセスできるようになると信じています」

また新たに強力なパートナーを迎え入れる、イオンナのセス・カトラーCEOは、「トヨタをIONNAファミリーに迎えることができてうれしく思います。北米における電動モビリティの未来に対する彼らのビジョンは、最高水準の品質、信頼性、顧客体験の限界を押し広げるという当社の使命と完全に一致しています。このパートナーシップは、EV充電を変革し、北米における持続可能な輸送の採用を先導するという当社の共同の旅において、多くの重要な成果を示すものです」と語った。

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