電動ラインナップの第一弾となる“メガパンダ”
2024年7月に創業125周年を迎えるフィアットが、満を持して攻勢に転じる。ステランティスグループのグローバルプラットフォームを採用した次世代電動モデル(EVとHV)を毎年1台のペースで続々と市場投入していくという。すでに2月には、そのコンセプトモデル群を一挙に公開。それぞれ「シティカー」、「SUV」、「ピックアップ」、「ファストバック」、「キャンパー」とネーミングされていた。
今回公開されたのは、その第一弾となるシティカーの量産モデルである「グランデパンダ」。その名が示すとおり、歴代パンダの影響を強く感じるデザインテイストであるが、全長は3.99mと現行パンダと比べるとひと回り大きい。とは言え、あくまでBセグメントでありシティカーである。また、パンダの後継車ではなく、あくまで新ラインナップという位置づけであることも付け加えられている。現行パンダも2027年までは継続して販売されるとのことだ。
パワートレーンはフル電動とマイルドHVを設定
パワートレーンは、フル電動とマイルドハイブリッドの2種類がラインナップされると公表された。スペックのアナウンスはないが、事実上の兄妹車であるシトロエンC3/e-C3とほぼ同じと考えていいだろう。
マイルドハイブリッド版は、75kW/102psを発生する1.2リッターの3気筒エンジンに21kW/28psのモーター、さらに6速デュアルクラッチオートマチックを組み合わせたものになるはずだ。
またフル電動のEVでは83kWのモーターに44kWhのLFPバッテリーを組み合わせる。航続距離は320kmほどになると予想する。いずれにせよ7月にはインテリアとともに詳細なスペック、そして価格が正式に発表されるだろう。
発売は早くても2024年末。まずは欧州を皮切りに、中東、アフリカでデリバリーが始まり、追ってグローバルに展開される。もちろん、日本市場もリストに入っているはずだ。
電動化されたフィアットの攻勢は絶え間なく続く
次世代電動モデルのラインナップ第一弾が公開されたが、フィアットはこれからも毎年最低でも1台のペースでグローバル市場に向けた電動モデルを投入していく。上述のとおりすでに今年2月にコンセプトモデル5台を一気に公開しているが、ここで残る4台を簡単に紹介しておこう。
●「ピックアップ(Pick Up)」中南米、欧州など
ブラジルを始め主に中南米マーケットを主眼に置いているものの、今後需要の拡大が見込まれている欧州での発売も計画されている。ピックアップトラックの利便性にSUV的な快適性を盛り込んだライフスタイル・ヴィークルを目指す。
●「ファストバック(Fastback)」中南米、中東、アフリカ、欧州など
ブラジルで人気のフィアットファストバックと、中東・アフリカで人気のフィアットティーポを統合した新型車として発売予定。中南米、中東、アフリカに加え欧州でも発売する。スポーティなスタイルに相応しいパフォーマンスの向上にも力が注がれるとのこと。
●「SUV」欧州ほか
広々とした室内空間をもつファミリーSUV。フィアット社内では“ギガパンダ”と呼ばれている。安全性、汎用性、デザインなどファミリーユースに最適な移動空間を提供するという。
●「キャンパー」欧州、中南米ほか
人と自然を結びつけることを目的に開発している。1980年代のパンダを彷彿とさせる「愉しさ」をコンセプトの中核に置いてSUV的な機能に加え、シティユースでも違和感のないマルチパーパスなモデルだ。
これら4つの電動モデルが2027年までに登場するが、これらはいずれも「グランデパンダ」とほぼ同じメカニカルコンポーネンツを元に設計される。
もちろん、モーターやバッテリー、さらにエンジンなどは車種ごとにマッチングが図られるが、ステランティスの他ブランド車も加わりコストは大きく抑えられる。そのスケールメリットは計り知れない。
当然それは販売価格にも反映され、ユーザーにとってもメリットは大きい。お洒落なイタリア車にリーズナブルな価格で乗れるようになるはずだ。まずは「グランデパンダ」の日本上陸が早期にかなうことを期待して待ちたい。