身近な軽商用バンからEV展開を本格化
「N-VAN e:」は、商用からホビーまで幅広いニーズに対応することを目指して設計された「N-VAN(ガソリンモデル)」をベースに開発した。EV化により、フラットで低い床と高い天井が生み出す広大な荷室空間、助手席側のセンターピラーをなくした大開口部などの空間的メリットに加え、給電機能や静粛性などのEVならではの付加価値が追加されているのが大きな特徴となる。
また、大容量バッテリーの採用や電動アクスルの小型化、高電圧部品の集中配置により、商用ユースに求められる実用航続距離と大容量の荷室空間を両立した。
航続距離はWLTCモードで245kmを実現している。また、充電時間は普通充電(6.0kW出力)で約4.5時間、急速充電(50kW)で約30分となっているため、配送業務などの主な商用ユースにおける待機時間の短縮にも貢献できるだろう。
個人向けから商用モデルまで4グレードで展開
グレード展開は商用から個人ユースまで対応する4タイプが設定されており、その中には、運転席のみの設定や、運転席と運転席側後席の2席の前後タンデム仕様を採用したモデルも含まれる。ちなみに、本田技研工業法人営業部と新車オンラインストア「Honda ON」での販売限定である「e: G」、「e: L2」タイプは、リース契約のみで取り扱われるという。
e: L4
商用から個人ユースまで幅広く活用できる、4席のシートを配置したスタンダードタイプで、フロア下にバッテリーを搭載しながらもガソリンモデルと同等の広い荷室空間を実現している。また、多彩な情報を表示可能な7インチの液晶メーターを採用したほか、エクステリアにはツートンカラーも設定し、選択の幅を広げている。
e: FUN
「e: L4」グレードをベースに、趣味やレジャーシーンにもなじむスタイリングを採用。インテリアは明るくナチュラルなベージュカラーとし、エクステリアにはe: L4同様ツートンカラーも設定される。また、LEDヘッドライトを採用したほか、急速充電を標準装備とするなど、充実した装備が特長となる。
e: G(リース契約のみ)
商用ユースに特化し機能性を追求したタイプで、ドライバー1名での利用を想定し、シートは運転席の1席のみの設定となる。より長尺の物を積めるよう助手席側ダッシュボードの形状を工夫し、N-VANガソリンモデルと比較し95mm室内長を伸ばしたほか、助手席を無くしたことで4人乗りのe: L4やe: FUNに対し120mmフロア高を下げ、使い勝手が向上している。
e: L2(リース契約のみ)
シートは運転席と運転席側後席の2席の前後タンデム仕様を採用。左側の座席がない空間と、ピラーをなくした大開口部によってN-VANの価値が際立つ、乗り降りや荷物の出し入れがよりしやすい仕様となっている。
充実した安全装備と便利なスマホアプリも用意
安全性能については、先進の安全運転支援機能が全タイプに標準装備され、軽商用バンとして初めてサイドカーテンエアバッグを運転席と助手席に標準装備。さらに衝突後ブレーキシステムも採用した。
さらに、ホンダの会員制サポートサービス「Honda Total Care」のIDを取得することで、スマートフォンアプリからリモート操作が可能となり、移動の快適さや電気代の抑制、航続距離の向上に役立つ。
なお、車両価格は下記のとおりで、事業者用補助金(LEVO補助金)の100万円を考慮すれば、2023年の情報公開時に掲げていた100万円台での販売、ユーザーの負担は100万円台ということになる。またはCEV補助金(軽自動車最大の55万円適用)が利用できる。インフレが加速する昨今の情勢下においては安価と言える水準を達成したと言えそうだ。軽商用バンのEV化が、日本のEV転換にどこまで影響するのか、今後の動向には要注目と言えるだろう。
【ホンダ N-VAN e: ラインナップ】
e: L4 :269万9400円
e: L4(急速充電対応仕様):280万9400円
e: FUN :291万9400円
<本田技研工業(株)法人営業部および Honda ON限定タイプ>
e: G :243万9800円
e: G(急速充電対応仕様):254万9800円
e: L2 :254万9800円
e: L2(急速充電対応仕様):265万円9800円