2024年6月5日、ボルボ・カーズはEVのフラッグシップSUVである「EX90」の生産をアメリカ・サウスカロライナにある工場でスタートしたことを発表した。高性能なシステムで構成されて、ボルボにとって新世代ともいえるモデルがまもなく納車され始める。

北米でEX90の生産開始。その後中国での生産もスタート

2030年にラインナップをすべてEVにすることを目標とし、毎年1台ずつ新EVを発表していくことを計画しているボルボは、これまでC40、XC40、EX30といったコンパクトモデルを投入してきた。飾り気の少ないシンプルなスカンジナビアンデザイン、リサイクル素材の採用などにより販売は好調に推移しているという。とくに最もコンパクトなEX30は日本でも人気のあるサイズ感ということもあって、2024年1月〜4月に日本の輸入EV車名別登録台数で第1位を獲得するほどだ。

ちなみに現在のEVラインナップのうちC40とXC40は、EVであることを判別しやすくするため名称をそれぞれ「EC40」と「EX40」に変更していくことが本国で予告されている。日本市場でも順次反映されていくのではないかと思われる。

こうしたボルボのラインナップにEVのフラッグシップモデルともいうべきSUV「EX90」が加わろうとしている。その存在は2022年から明かされてきたが、2024年6月5日、ついに生産が始まった。生産拠点は北米サウスカロライナ州にある工場で、同年後半からデリバリーを開始するとしている。

EX90はフラッグシップモデルらしくボディサイズも大きく、3列7シーターを実現しつつ全長は5mを超え、全幅は2m近くある。これほどの巨躯でありながら、111kWh容量のバッテリーにより走行可能距離は600kmを実現する。

画像: ガソリンエンジンを搭載したフラッグシップSUVのXC90よりも、ひと回り大きなボディサイズとなるEX90。

ガソリンエンジンを搭載したフラッグシップSUVのXC90よりも、ひと回り大きなボディサイズとなるEX90。

ただ、EX90の特徴はこうしたスペックだけではなく、高性能コアコンピュータと車両システム、センサーシステムなどを組み合わせたハードウェアの高性能さ、そして安全性能の高さにある。

最近なにかと話題になっているエヌビディアのコアコンピュータ「NVIDIA DRIVE Orin」を採用、クアルコムのデジタルコクピットシステム「Snapdragon Cockpit Platforms」を組み合わせ、またセンサー類にはカメラやレーダーだけでなくLiDAR(ライダー)を搭載するなど、自動運転を見すえたシステム構成としているのだ。

これだけ高度なハードウェアが揃っていれば、たとえ発売当初に搭載されていなかった機能も、無線通信によるシステムアップデート技術「Over The Air(OTA)」でソフトウェアを更新して、納車された後から使用できるようになる機能も多いはずで、次世代モビリティを感じさせるモデルであることは間違いなさそうだ。

ただ、EX90とラージサイズミニバン「EM90」も含めて日本市場に導入されるかどうかのアナウンスはまだない。今後予定されている中国での生産が始まれば、日本導入の可能性も高まりそうだ。

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