2024年5月22日、ボルボ・グループ・ジャパンは電動モデルの中型油圧ショベルカー「EC230 ELECTRIC」を発表、23日より発売を開始した。建設機械業界にも電動化の波が押し寄せており、国内各メーカーも電動モデルを相次いで市場導入に乗り出している。「EC230 ELECTRIC」は国内でもっとも需要の多い中型20トンクラス。すでに大手建設会社に1台の納入が決定しているという。

EV建機3モデル目はアジア初導入の中型油圧ショベルカー

ボルボ・グループは、トラック、バス、建設機械、船舶用や産業用のパワーソリューションまで手掛けている巨大な多国籍企業。その日本法人であるボルボ・グループ・ジャパンは、すでに国内向けの電動建設機械として2モデル(電動コンパクトショベル「ECR25 ELECTRIC」とホイールローダー「L25H ELECTRIC」)を発売(日本販売代理店:山崎マシーナリー株式会社)している。そして、去る5月22日には、新たに20トンクラスの中型電動ショベルカー「EC230 ELECTRIC」をラインナップに加えることを発表。同日より国内発売を開始した。

「EC230 ELECTRIC」は、5月22〜24日に千葉・幕張メッセで開催された第6回建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO2024)で国内初披露。すでに、北米と一部の欧州市場では導入が進んでいるが、アジア圏では日本が初めての発売となる。

画像: 「CSPI-EXPO2024」で日本初公開された。アジア圏では初の発売となる。

「CSPI-EXPO2024」で日本初公開された。アジア圏では初の発売となる。

ベースとなっているのは、通常のディーゼルエンジンを搭載したボルボ・クローラー掘削機EC230。これを元に電動油圧式ショベルカー機能を開発した。264kWh/396Ahの大容量バッテリーと、ピーク時160kWh/連続105kWのパワフルなモーターを搭載しており、使い方にもよるがおよそ5時間の駆動が可能だ。

電動化によりCO2の排出を抑制するのはもちろん、オペレーターは騒音と振動から解放され、また電動モーターによる油圧レスポンスの向上により作業効率が大いに高まる。掘削能力はディーゼルエンジン搭載車と同等の性能も実現している。

画像: 電動化はCO2の排出を抑えるだけでなく、レスポンスの向上により作業効率のアップにも貢献するという。

電動化はCO2の排出を抑えるだけでなく、レスポンスの向上により作業効率のアップにも貢献するという。

画像: EC230の運転席はエルゴノミックデザインを採用。電動化による騒音や振動の低減と相まって快適性が大きく向上している。

EC230の運転席はエルゴノミックデザインを採用。電動化による騒音や振動の低減と相まって快適性が大きく向上している。

ボルボの電動建設機械は世界で10モデルが活躍中

ボルボの電動建設機械はグローバルでは10モデルをラインナップしており、2030年までに全製品の35%を電動化する計画を発表している。上述のとおり、日本では2023年に電動ホイールローダー「L25H ELECTRIC 」と電動コンパクトショベル「ECR25 ELECTRIC」を導入済みであり、後者は国土交通省が新設した「GX建設機械認定制度」の認定も取得している。

画像: ホイールローダーは主に土砂や砕石をダンプカーに積み込む際に使われる。(写真は「L25H ELECTRIC」)

ホイールローダーは主に土砂や砕石をダンプカーに積み込む際に使われる。(写真は「L25H ELECTRIC」)

画像: 国土交通省が新設した「GX建設機械認定制度」に認定された「ECR25 ELECTRIC」。全幅1550mm、全長3094mmのコンパクトモデル。

国土交通省が新設した「GX建設機械認定制度」に認定された「ECR25 ELECTRIC」。全幅1550mm、全長3094mmのコンパクトモデル。

【GX建設機械認定制度」とは?】
建設施工現場における電動建機の普及を促進し、脱炭素化を図るため、国土交通省は2023年10月17日より「GX建設機械の認定制度に関する規定」を策定。電動油圧ショベルおよび電動ホイールローダーの2機種の電動建機に対してGX建設機械認定の適用を開始した。2024年4月現在、 竹内製作所、小松製作所、コベルコ建機、タダノなど大手建設機械メーカーの16機種が認定を受けている。ボルボECR25は日本販売代理店である山崎マシーナリーを介して認定されている。

バスやトラックを始め、働くクルマの世界にも電動シフトの波が押し寄せている。非電化路線の鉄道や船舶用の燃料電池や水素燃焼エンジンの開発も進んでいるようだ。身近な乗り物は気がつけば電気で動いている時代は、すでに目前に迫っているのかも知れない。

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