中国ユーザーのニーズに応えたNEVラインナップ
中国市場でEVはここ数年で一気に販売台数の割合を伸ばしてきたが、2022年末に補助金の給付が終わって以降伸び悩み、代わって台頭しはじめたのが「PHEV」であり、また政府による支援策で注目されつつあるのが水素エンジン車や燃料電池車(FCEV)だといわれている。
刻一刻と変化している中国市場に対応するため日産は、2024年3月に公開した2030年までの長期経営計画The Arcで、新エネルギー車(NEV)を「4車種」投入することを織り込んでいた。ところが、その翌月の4月に開幕した北京モーターショーにおいて、2026年度までにNEVを「5車種」投入することを発表した。
長期経営計画発表のわずか1カ月後に1車種増やしてきたところを見ると、市況の変化への対応、そして、より中国市場に注力していくという姿勢の現れと受け取れる。
日産の内田 誠 社長兼CEOはプレスカンファレンスで、「変化の激しい中国において持続的な成長を果たすため、日産は新経営計画The Arcで発表した通り、中国市場向けに最適化した戦略に取り組みます。本日公開したコンセプトカーをベースとして開発する新エネルギー車を皮切りに、競争力の高い多様な新車を投入することで、バランスの取れた商品ラインナップを構築します」と語った。
さて、この北京モーターショーで日産が公開したコンセプトカーは4モデル。いずれもNEVで、PHEVが2車種、EVが2車種となる。
EVセダンの「日産エポック・コンセプト」は、都市や郊外での走行を想定したモデルで、AIとIoTを組み合わせたアシスタント機能によりさまざまなコミュニケーションをとることができるという。もうひとつのEV「日産エピック・コンセプト」はSUVタイプで、アウトドアをはじめとしたシーンで外部給電できる機能を搭載している。
SUVタイプのPHEV「日産エラ・コンセプト」は、進化したe-4ORCE(電気式4WD)とアクティブエアサスペンションによりオン・オフロードを問わない快適な走行性能を実現するとともに、エンターテイメントシステムを充実させた若者向けのモデルだという。もうひとつのPHEV「日産エヴォ・コンセプト」はセダンタイプで、先進運転支援システムや安全機能、また、AIによるアシスタント機能でドライバーをサポートするとしている。
こうしたNEVを続けて投入することでラインナップを刷新しつつ、年間販売台数を20万台増やして2026年に100万台を目指すとしている。