「特定小型原付」は電動キックボードだけではない
国内を走るタイヤが4個付いた小さな乗り物には厳然とした車両区分が存在する。まずは、それぞれの特徴を以下の表にまとめてみた。
「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」は2023年7月に施行された改正道路交通法により新設された区分。当初、電動キックボードばかりがクローズアップされたことで特定小型原付=電動キックボードのことだと誤解されることも多いが、要件さえ満たしていれば4輪でも構わないし、座って運転しても問題ない。
16歳以上であれば免許も不要なので、免許返納後の高齢者や体力に自信のない人にも移動の自由を提供する新たなモビリティとしても注目されており、新型車の発売も相次いでいる。
「ミニカー」は原付バイクと普通自動車の中間
「ミニカー」は以前からある区分。道路運送車両法上の車両区分では原動機付自転車なのだが、道路交通法上では普通自動車になるので、公道で乗るためには普通免許が必要だ。乗車定員は1名のままだが最高速度の上限は60km/hに引き上げられ、原付バイクのような二段階右折も不要。車検も不要なので重量税はかからない。
車庫証明も必要ないが、駐車に際しては駐車場が必須(駐輪場は不可)となり、路上駐車すると取締まりの対象となることも知っておきたい。自動車税は軽自動車のおよそ3分の1である。余談だが、デリバリーやラストワンマイルの配送業務に使われる3輪原付バイクは、トレッド(輪距)を広げてミニカー登録することも多い。
「超小型モビリティ」は2種類ある
「超小型モビリティ」は、10年以上をかけて法整備されてようやく創設された比較的新しい乗物だ。道路運送車両法上の車両区分では“軽自動車”に区分される。ただし乗車定員は現状2名だ。
さらに、スペック上はほぼミニカーに準じている「型式指定車」と、サイズや原動機出力により余裕があるものの個別に申請が必要な「認定車」に区分され、後者はほぼ軽自動車と同等のスペックが認められる。もっとも超小型モビリティとして唯一型式指定を受けていたトヨタのC+podが2024年夏で生産を終了するなど、その先行きが不安視されているのも事実であり、今後の動向は注視していく必要がありそうだ。
ちなみにミニカーのナンバープレートは“水色”、超小型モビリティは軽自動車に区分されるので“黄色”、特定小型原付では電動キックボードと同じ“四角い小型の白い”プレートが付く。また、特定小型原付では車体寸法や取り回し性の関係からバー型ハンドルが採用されており、ルーフが付いていないカートタイプがほとんどだ。
というわけで、これからの日本のマイクロモビリティは、新たに登場した4輪タイプの特定小型原付とミニカーが主流になる可能性が高い。どちらも手軽に乗れる乗り物である一方、アイデア次第でさらなる進化も期待できそうだ。