ドルフィン、シールに続く海洋生物シリーズの第三弾
日本のEV市場でBYDの評判は予想していた以上に高い。デザイン的な好みは人それぞれあるだろうが、ATTO 3もドルフィンもコンパクトなボディサイズと居住空間の広さを持ち、そして右ウインカー化や音声認識の日本語対応、ペダル踏み間違いによる誤発進を抑制するシステムなど、日本向けにローカライズされていることも高評価の要因のひとつと言えそうだ。
大型ミニバンの「D9」やフルサイズSUVの「U8 ヤンワン」が2023年11月のジャパンモビリティショーで公開され、また2024年の年央にはセダンタイプEVのシールも発売を予定されるなど、期待は高まっている。
そうした中、BYDはブラジルとメキシコでコンパクト5ドアハッチバックの新型EV「ドルフィン MINI」を発表、発売した。
コンパクトカーのドルフィンと同じファミリーネームを持つが、デザイン的な共通点はあまり見受けられない。ヘッドライトやバンパー形状などに直線を取り入れ、フェンダーやドア下部にマットブラックの素材を用いるなど、ドルフィンMINIはアグレッシブなデザインに仕上げられているように見える。
ボディサイズはフォルクスワーゲン ゴルフやBMW 1シリーズと同じCセグメントのドルフィンよりも、ふた回りほど小さいAセグメントにあたり全長は3780mm、全幅は1715mm。国産車で言えばトヨタ ルーミーやスズキ ソリオなどがサイズ的なライバルと言えそうだ。全高は1580mmで機械式駐車場に対応しないものの、もし日本で販売されることになればローカライズにより1550mmまで下げられる可能性も考えられる。
板状の形状とハニカム構造を組み合わせた高剛性なBYD独自のブレードバッテリーは、38kWhの容量で380kmの航続可能距離(NEDCモード:欧州のテスト基準)としている。専用のアプリとオプションのマイクを使ったカラオケ機能もドルフィンと同様に搭載されているようだ。
まずは中南米を中心に販売網を拡大していくというから、日本へのすぐの導入は難しいと思われる。それでも、日産 サクラや三菱 eKクロスEVのような軽自動車規格のEVが販売台数を伸ばしている現状を見ると、低価格でコンパクトなEVの需要はあるが、どうなるだろうか。
BYD ドルフィンMINI 主要諸元
●全長×全幅×全高:3780×1715×1580mm
●ホイールベース:2500mm
●総重量:1568kg
●最高出力:75ps
●最大トルク:135Nm
●バッテリー総電力量:38kWh
●NEDCモード航続距離:380km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:175/55R16