2024年3月12日、ポルシェジャパンは、フル電動スポーツセダン「タイカン」に新モデル「タイカンターボGT」と「タイカンターボGTヴァイザッハパッケージ」を追加し、予約受注を開始した。両モデルともに1,108psの最高出力を発生するほか、後者はサーキット走行に不要な装備を取り外すなどスポーツ走行に極限まで特化したスペシャルなパッケージとなる。
両モデル共通の進化ポイント
今回発表されたモデルは両方とも1108psの最高出力を発生し、軽量設計とエアロダイナミクス対策を融合したことで、エレクトリックGTスポーツカーのドライビングダイナミクスの水準を引き上げている。リアアクスルには、半導体材料に炭化ケイ素を使用した強力で効率的なパルスインバーターを採用している。
また、他のタイカンモデルのプッシュ・トゥ・パス機能をベースにしたアタックモードを搭載し、ボタンを押すだけで最大120kW(ベースのタイカン比+50kW増)のパワーブーストを10秒間追加することが可能だ。このシステムはサーキット走行に最適化されており、ポルシェがABB FIAフォーミュラE世界選手権で使用している99Xレーシングカーと同様の機能を持つ。
さらに、スピードメーターのアニメーションリングはダイナミックに演出され、メーターパネルにはカウントダウンタイマーが表示されるなどドライバーの気分を高める演出もある。
ちなみに、先代モデルよりもさらにダイナミックなパフォーマンスをもたらす新しいリアアクスルモーターにより580kWを発生し、ローンチコントロール使用時のオーバーブーストパワーは最高760kW、最高出力測定法に従うと2秒間で最大815kW(1108ps)に達するという。
快速「ターボGT」とサーキット特化の「ヴァイザッハパッケージ」
静止状態から100km/hまでの加速タイムは、タイカンターボGTが2.3秒、ヴァイザッハパッケージ装着車両が2.2秒で、タイカンターボSより0.1~0.2秒速い。
また、静止状態から200km/hまでの加速だと、タイカンターボGTが6.6秒、タイカンターボGTヴァイザッハパッケージが6.4秒で、タイカンターボSより最大1.3秒速くなり差はさらに広がる。
さらにポルシェはインテリジェントな軽量設計により、タイカンターボSと比較してタイカンターボGTを最大75kg軽量化することに成功したほか、アンダーボディのエアディフレクターエレメントと新しいフロントディフューザーなどエアロダイナミクスとエクステリアデザインの面でも新たな進化を遂げている。
ヴァイザッハパッケージ装着モデルでは、ウイングサポートを固定したカーボン織仕上げの固定式リアウイングによる最大ダウンフォース総量220kgや、サーキット走行に必要のない装備をすべて取り外すことで、タイカンターボGTからさらに約70kgの軽量化を施し最高速305km/h(ターボGT:290km/h)を実現するなど、サーキットユースに特化して、極限まで走行性能が高められている。
ちなみにインテリアも“軽量化”を意識した特別仕様に仕上げられており、運転席および助手席シートシェルの後部は、収納コンパートメントを備えたテーラーメイド高品質軽量カーボンクラッディングが通常のリアシートシステムの代わりに装備される。また、メーターパネルに通常装備されるスポーツクロノパッケージのアナログ時計や、フットマットとトランクマットも削除され、断熱材の使用量も低減されている。
特別な防音断熱ガラスとサウンドパッケージプラスも軽量化に寄与し、リアスピーカーなしのサウンドパッケージプラスをBOSE®サラウンドサウンドシステムの代わりに装着する。
また、ブラックのRace-Texを使用したGTインテリアパッケージが標準装備で、助手席側にはヴァイザッハパッケージのロゴ入りバッジが付属し、ヴォルトブルーとGTシルバーのインテリアパッケージも用意されるなど、軽量化以外の特別感を演出する装備も用意されている。
なお、気になる車両価格については、「タイカンターボGT」、「タイカンターボ GTヴァイザッハパッケージ」ともに3132万円と同額であるため、リアシートがないことを許容できる方であればヴァイザッハパッケージが魅力的な選択肢であると言えるかも知れない。