路線バス以上、タクシー未満の料金設定か
日本の交通事情におけるさまざまな課題を解決すると言われている自動運転技術は、自動車メーカー各社によって研究、開発が重ねられている。
日産は自動運転技術を採用した「プロパイロット2.0」を開発し、特定の条件下でドライバーがハンドルから手を離し、ペダル操作を必要としないハンズオフドライブを実現。アリアやセレナといった市販車に搭載している。
このプロパイロット2.0を含めて、2024年2月時点における市販車に採用されている自動運転技術は「レベル2」であり、運転の主体は人だ。レベル3(運転の主体はシステム)にランクアップできたとしても、それでもドライバーが運転席に着座している必要がある。つまり、タクシーや路線バスの運転手不足が叫ばれる現代において、課題解決に必要な技術は「レベル4」以上ということになる。
実は日産は2017年以降、横浜みなとみらい地区や福島県浪江町、そしてイギリス・ロンドンでもレベル4に相当する自動運転モビリティサービスの実証実験を行ってきた。そうした中、2024年2月28日「ドライバーレス自動運転によるモビリティサービスの事業化に向けたロードマップ」を発表、2029〜2030年度での実用化を目指すとしている。
準備段階にあたる2024年度はセレナをベースにした自動運転車両を開発し、みなとみらい地区で走行実験。フェーズ1の2025〜2026年度には段階的に最大20台まで車両を増やしつつ、同地区で乗客を乗せての本格的なサービス(無償)を実施。フェーズ2の2027〜2028年度ではサービスを有償に切り替えつつ、みなとみらい地区を含めて4〜5市町村での展開に拡大していくというものだ。
日産は自動運転モビリティサービスを「事業化」することを目標にしているが、実際には日産が車両やシステムなどを提供し、地域ごとの事業者がサービスを運行する構造となる。またフェーズ2における有償サービスの料金設定は今後の議題としながらも、「路線バス以上、タクシー未満」になることが予想され、また最終的にはサブスクリプションという選択肢も考えられるとしている。