次世代電池でありEV業界のゲームチェンンジャーとなりうる「全固体電池」の開発競争が過熱している。先頭を走るのはトヨタ/出光興産連合を筆頭とする国内勢だが、それにストップをかけるべく中国が国を挙げた開発競争に乗り出した。(タイトル写真は世界最大のバッテリーサプライヤー「CATL」の本社)

トップを走るのはトヨタ/出光興産、日産、ホンダも続く

次世代EV用バッテリーの本命と言われる全固体リチウムイオン電池。世界中のバッテリーメーカー、自動車メーカー、そして素材メーカーがその実用化に向けて鎬を削っている。そのなかで圧倒的な優位にあると言われるのが、トヨタ/出光興産連合だ。関連特許の数は世界中のライバルを圧倒する。

画像: 2023年10月12日、全固体電池の量産化に向けて協業を発表したトヨタ自動車と出光興産。

2023年10月12日、全固体電池の量産化に向けて協業を発表したトヨタ自動車と出光興産。

そして、そのすぐ後ろを追いかけるのが日産やホンダという構図だ。テクノロジーでは日本勢が世界の趨勢を決する勢いがある。と思いきや、超強力な伏兵が現れた。現在、EV用バッテリーで圧倒的な世界シェアを誇る中国勢が、やはり黙っていなかったのである。

本題に入るまえに、全固体電池がなぜこれほど話題になるのか簡単にまとめておこう。

簡単に言えば、いまEVに限らず広く利用されているリチウムイオンバッテリーは電流を発生させる電解質は液体だ。この電解質の中をリチウムイオン(リチウムイオン電池の場合)が移動することで電流が発生する仕組みである。この電解質を固体に置き換えたものが全固体電池だ。

簡単な材料の置き換えだと思われるかもしれないが、その実用化は困難を極める。なかでも電解質に使われる素材の開発は、多くの素材メーカーや研究所が試行錯誤を重ねているものの、なかなか実用レベルに届かない。度重なる充放電でも変形がなく長寿命、また水分の混入などによる発火の危険性を抑え、熱など危険なガスも発生しないなど、さまざまな素材の研究開発が日夜行われているのだ。

全固体電池の最大のメリットは、圧倒的なエネルギー密度である。容量が小さくても十分な電力を得ることが可能で、コンパクトで場所を取らないバッテリーパックを重ねることで大出力化も容易だ。充放電のスピードアップもケタ違いだ。つまり、小さくても力持ち、小さいから軽い、とまさに自動車向きの特性を備えている。

画像: 電解液が存在しないので、液漏れの心配もなく小型軽量化が可能。まさに自動車向きの電池だ(図はトヨタ自動車作成)。

電解液が存在しないので、液漏れの心配もなく小型軽量化が可能。まさに自動車向きの電池だ(図はトヨタ自動車作成)。

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