その2 今売れるのはハイブリッド。一足飛びにEVには行けない
自動車メーカーもEVの生産調整に入りましたが、販売店でも今一番売りやすいのは、財布に優しく環境にも良いハイブリッド(HEV)やブラグインハイブリッド(PHEV)です。最高益を更新し北米市場も好調のトヨタは、先週のスーパーボールでTVCMをオンエアした中型ピックアップトラック新型「タコマ」のHEVや、ハイブリッド専用となったニューカムリを導入。ホンダもベストセラーのCR-Vの改良版や新型アコードとシビックのHEVなどが発売され今年も好調が続きそうです。
HEVをラインアップしないメーカーは、PHEVに力を入れます。昨年比+26%と躍進したボルボはEV転換に力を入れていますが、販売店会長は、XC60/同90/S60などのPHEVが販売を支えていると言います。三菱はアウトランダーPHEVが「ホームラン」クラスの人気です。昨年、363,000台(+23%)と好調のマツダは、今年導入するCX-90のPHEVに大きな期待をかけています。CX-50とCX-70を加えたラージシリーズがブランドバリューの向上に貢献しており、「マツダはもう業界の秘められた謎ではない(Mazda is no longer the industry’s best kept secret)」とフロリダで30年以上マツダ車を扱っている販売店協会の会長は今年40万台の新記録達成に自信を見せています。
これに対し、EVへの転換を急いだブランドはやや歯切れが悪く、昨年販売台数が横ばいのメルセデス・ベンツ販売店の会長は、「EVの販売シェアは15%だったが地域差が大きい。ニューヨーク市や東部州は4駆のSUVモデルや高性能な内燃車(ICE)が人気で、今年はハイブリッドやICEに生産をシフトする判断は良い」と語っています。「EVはMSRP(メーカー希望小売価格)から大幅に値引きして売っている」と率直に認めるKIAの販売店も、PHEVやHEVを増やして調整するとしています。
ただ、EVについて期待がないわけでなく、GMシボレーの販売店会長は、「EVは新規のカスタマーを取り込める」と希望を持っていますし、VW販売店は前人気上々のID. Buzzの到着を心待ちにし、アウディはQ6 e-tronに期待をかけています。「クロストレック」、「フォレスター」、「アウトバック」が好調で昨年63万台(+14%)を販売したSUBARUも、EVのソルテラの販売を今年は倍増する計画です。