すべての駐車区画に個別の充電コンセント設置も
今回発表された6物件の充電器設置状況は以下のとおり。
大京は2010年より、開発する分譲マンションで駐車区画数の10%にEV充電コンセントを標準設置する計画を進めてきた。さらに2022年5月には、業界初の取り組みとして、充電器の設置率を50%に引き上げるとともに、残りの駐車区画には将来的にEV充電コンセントの増設が可能な空配管を設置することを決定している。
同業他社の物件でも、とくに都市部を中心にEV充電コンセントの設置が始まっているが、現状では限られた充電設備を分け合うシェア型が多い。今回大京が発表した6物件の中には駐車場収容台数の100%に実装されているところもあり、そちらは基礎充電充足率100%となる。
各区画での駐車時間をそのまま充電時間にあてることができるので、順番待ちや車両の移動が不要だ。ちなみに経済産業省が発表している「充電インフラ整備促進に向けた指針」では、2030年までに集合住宅でのEV/PHEVユーザーの10%以上が自宅充電できることを目標に掲げている。大京の取り組みはそれを大きく上回っていることになる。
専用アプリで料金公平化と管理業務軽減を実現
大京の分譲マンションに設置される充電器は、電気自動車充電サービス大手のユビ電が提供する「WeCharge」によって運営される。設備は住民の共用だが、充電にかかる電気代はあくまで利用者負担だ。
専用アプリを通じて充電操作が可能であり、複数台のEV充電を統合してIoTプラットフォームから制御できるスマート充電機能を有している。これにより、深夜電力など電気代が安い時間帯を自律的に選んで充電するサービスを始めデマンドレスポンスプログラムまたは時間帯別の価格制度に参加する機能が順次追加されるという。
アップデートはIoTプラットフォーム側で行われるため、追加工事は不要だ。また、利用料金はWeChargeアプリを通じて利用者に請求されるので住民の不公平感もなく、管理組合や管理会社の集金業務の軽減にもつながる。
マンション購入するなら充電施設の有無は必ず確認
日本でEVを購入したユーザーの9割近くが戸建て住宅を所有し、集合住宅では1割強というデータもある。充電インフラがEV/PHEVの購入をためらわせる原因となっていることは明らかだ。
EV充電設備はマンション住民の共用設備になるので、後から設置する場合には管理組合員の4分の3(マンションによっては2分の1以上)の賛同が必要だ。これが既存集合住宅へのEV充電設備導入の最大のハードルとなっているようだが、一方で充電設備の有無が将来の資産価値に影響するという声もある。
新築分譲時から標準装備となっていれば、そんな議論に時間を費やす必要はない。すでに東京都では、2025年以降に新築されるマンションや商用施設などへ一定規模の充電設備設置を義務づけている。分譲マンションの購入を検討しているならば、充電器を標準設置した物件に注目しておくべきだろう。