昨年秋にドイツのニュルブルクリンサーキット及びその近郊で目撃されていた日産アリアのハイパフォーマンスグレード“NISMO”が、東京オートサロン2024で早くも公開された。今春の正式発表・発売を控え、現時点で判明していることを詳しく続報としてお届けしよう。

駆動方式は4WDのみ。GT-R譲りの制御ロジックで旋回性能向上

アリアNISMOの白眉と言えるのは、やはりパフォーマンスの向上だ。モーターの最高出力は基準車に対しておよそ10%高められ、0→120km/h加速タイムは標準車より1秒短縮されるようだ。アリアのポテンシャルを開放することを目的に開発された「NISMOモード」を選択すれば、モーターのレスポンス・加速の伸び感が基準車に対してよりリニアに向上するという。同時に、加速時および減速時にはフォーミュラEを模したサウンドエフェクトが車内に響くという演出も用意される。

画像: モーター出力はおよそ10%がアップされ、0→120km/h加速タイムも1秒短縮される。

モーター出力はおよそ10%がアップされ、0→120km/h加速タイムも1秒短縮される。

アリアNISMOは四輪駆動制御を用いた「B6e-4ORCE」と「B9e-4ORCE」のみに設定され、2WDモデル はラインナップされない。今回NISMOが注力したのは、このe-4ORCEのプログラミングだ。

「NISMO e-4ORCE」と名付けられた専用制御には、GT-Rの開発で培ったテクノロジーが投入される。具体的には、基準車に比べより後輪側に多くのパワー/トルクを多く配分することでGT-R譲りのいわゆる“トラクションステア(旋回初期にアクセルオンでクルマの向きを変える特性)”が可能になっているのだ。

画像: コーナー進入時に軽くアクセルペダルを踏み込むことで回答性向上と安定性を両立する「NISMO e-4ORCE」を搭載する。

コーナー進入時に軽くアクセルペダルを踏み込むことで回答性向上と安定性を両立する「NISMO e-4ORCE」を搭載する。

この特性変更に合わせて、タイヤ&ホイールもNISMO専用の20インチサイズを開発。専用開発されたミシュラン・パイロットスポーツEVは255/45R20サイズで、同じく専用開発されたエンケイ製8.5Jホイールと組み合わされる。

この専用タイヤの性能をフルに引き出すことを目的に、サスペンションも専用チューニングを施した。スプリングレート、ショックアブソーバ減衰力、スタビライザーなどが乗り心地を損なわない範囲で強化されている。電動ブレーキのロジックも変更し、専用パッドの採用で幅広い温度域で安定した制動力と上質なブレーキフィールも実現。「安心して」「気持ち良く」「より速く」というNISMOロードカーのコンセプトがアリアNISMOでも一貫している。

画像: ボディカラーはモノトーン3色、2トーン3色、全6色が登場予定。写真前列右のNISMOステルスグレー/ミッドナイトブラックパールはNISMO専用色だ。

ボディカラーはモノトーン3色、2トーン3色、全6色が登場予定。写真前列右のNISMOステルスグレー/ミッドナイトブラックパールはNISMO専用色だ。

想定されるライバルは、ヒョンデが2023年7月に発表したパフォーマンスEV「アイオニック5 N」だろうか。こちらもモータースポーツ直系のハイパフォーマンスモデルだが、奇しくも同じ東京オートサロン2024で日本初公開され、2024年中の発売が予告されている。

実は、現時点(2024年1月12日)では、アリアは全グレードで受注ストップを余儀なくされている。世界的な半導体不足や不安定な世界状態の影響がいまも続いているのだ。だが、今回発表されたNISMOは今春の国内発売を予定しているとのこと。つまり、同時期には全グレードの受注再開を期待してもいいのかもしれない。

【主要諸元 アリアNISMO B9 e-4ORCE( )内はNISMO B6 e-4ORCE】
・ボディサイズ:全長×全幅×全高:4650×1850×1650〜1660mm(1650mm)
・ホイールベース:2775mm
・車両重量:2210〜2220kg(2080kg)
・モーター最高出力:320kW(270kW)
・モーター最大トルク:600Nm(560Nm)
・バッテリー容量:91kWh(66kWh)
・タイヤサイス:255/45R20

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