EVを購入する場合、自宅や勤務先など長く駐車しておく場所に普通充電器があることが望ましい。そして、普通充電器には3kWと6kWが存在するが、それぞれのメリット、デメリットはどういうところにあるのか。単純に数字が大きければよいということではないので解説をしておきたい。

同じ充電時間なら充電量は倍になる6kW

電気自動車(EV)には充電が必要です。エンジン車が燃料としてガソリンや軽油を給油するように、EVには走行エネルギーである電気を充電する必要があります。

そしてEVへの充電は、大きく2つの方法があります。ひとつが低い電力で、ゆっくりと時間をかけて行う「普通充電」。これは主に自宅で行います。また、出かけた先でも、クルマを長い時間をかけて駐車する、大型ショッピングモールやホテルなどにも普通充電の設備が用意されていることがあります。

画像: EVには交流電流でゆっくり充電を行う普通充電と、直流の電流で短い時間で充電する急速充電があるが、今回は普通充電についてだ。

EVには交流電流でゆっくり充電を行う普通充電と、直流の電流で短い時間で充電する急速充電があるが、今回は普通充電についてだ。

二つ目の充電が高い電力で短い時間で行う「急速充電」です。これは、新車ディーラーや高速道路のSA/PA、道の駅などに設備が用意されています。

自宅での充電は普通充電となります。これは家庭用の電源である交流(AC)電流を使って充電します。家庭内で使われる電気は100Vの電圧ですが、EVの充電は200Vの電圧で行います。そのときに電流をどれだけ使うのかを選ぶことができます。

それが15Aと30Aです。電圧200Vで電流15Aの状態で充電することを電力では3kWと表示します。そして、電圧200Vで電流30Aでの充電は6kWの電力となります。

つまり、自宅用の充電設備にある3kWと6kWとは、充電する電力の大きさが異なることを意味します。

EVをどのように使うかが判断のポイント

3kWの電力で1時間充電すると、電力量は3kWhになります。この電力3kWでバッテリー容量60kWhを充電しようとすると20時間が計算上必要になります。一方、6kWの電力で60kWhのバッテリーを充電するには10時間です。電力の大きい6kWの方が当然、充電する時間が短くなります。

画像: 6kWの普通充電では、壁掛け式の充電ケーブルを利用する。写真は2018年に日産が用意した6kW普通充電器(壁掛型)。

6kWの普通充電では、壁掛け式の充電ケーブルを利用する。写真は2018年に日産が用意した6kW普通充電器(壁掛型)。

自宅での充電を短い時間にしたいなら6kWがおすすめです。ただし、6kWの充電は「お金がかかる」というデメリットがあります。まず、家庭の電気契約でも、大電流を使えるように、3kWよりも余裕ある契約が必要です。当然、基本料金が高くなります。

画像: 3kWの出力で普通充電を行うときは、車載されている充電用ケーブルを使用する。

3kWの出力で普通充電を行うときは、車載されている充電用ケーブルを使用する。

また、充電設備も6kW用の方が高額になります。3kWであれば、家側のコンセントはシンプルなものになり、車載ケーブルが使えます。それに対して、6kWは壁掛け式のコンセント&ケーブルを使うことになります。

どちらを選ぶべきかといえば、自宅での充電に、どれだけ時間をかけられるかがポイントになるでしょう。毎日、EVで出かけて、自宅で充電する時間が限られている人であれば出力の大きい6kWがお勧めです。EVを走らせるのは週末だけ、というのであれば3kWで足りるはずです。さて、あなたはどちらを選びますか。

●著者プロフィール
鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。

This article is a sponsored article by
''.