1月2日、ポルシェは2024年に大幅なバージョンアップを予定する高性能EVシリーズ「タイカン」が、ドイツのニュルブルクリンクで“7分07秒55”のラップタイムを記録したと発表した。現行ラインナップ最強のタイカンターボSが2022年8月10日に計測した7分33秒350をおよそ26秒も短縮したことになる。テスラ モデルS プラッドが2023年6月4日に“7分25秒231”を記録して量産EV最速の座をタイカンから奪ったが、今回のタイムアタックで王座奪還に成功した。

記録を達成したのはトライモーター搭載の新グレードか

今回の記録を達成した車両の仕様について、現時点でポルシェは一切明らかにしていない。とは言え、今年大幅に改良される新型モデルに加わると噂される新グレードの「ターボGT」によるタイムであることは間違いないだろう。

写真を見れば一目瞭然だが、フロント周辺の造形が大きく変更され、よりエッジの利いたシャープなエアインテークとレーシーなスプリッターが目を惹く。リアまわりでは、巨大なリアウイングが追加されているほか、新デザインの大柄なディフーザーが採用されている。

登場が期待される新グレード「ターボGT」の注目ポイントは、タイカン初となるトライモーターの採用だ。現行モデルでは前後にモーターを搭載するデュアルモーター式AWD(ターボSは560kW/761ps)だが、ターボGTではテスラ モデルS プラッドと同じく後輪左右を別々のモーターで駆動するトライモーター式AWDとなる。モデルSの総出力は761kW/1034psなので、ターボGTがそれを超えてくるのはまず間違いないだろう。

普及モデルとハイパフォーマンスモデルの二極化が加速

2024年は欧州車を中心にコストパフォーマンスに優れたB/Cセグメントの普及価格帯EVが続々登場する。一方で、タイカンを筆頭にハイパフォーマンスEVもバージョンアップ。さらにニューモデルも登場する。2023年11月に正式発表された「ヒョンデ アイオニック5 N」、2024年2月には「アルピーヌA290」が発表され、年内には「日産アリア NISMO」が登場する。ほかにも、フォルクスワーゲンID.3にもハイパフォーマンス指向の隠し玉が用意されているようだ。

画像: 昨年11月に正式発表された「ヒョンデ・アイオニック5 N」。ニュルのラップタイムは公表されていないが、7分台のペースを落とさずに2回周回できる唯一のハイパフォーマンスEVであるという。

昨年11月に正式発表された「ヒョンデ・アイオニック5 N」。ニュルのラップタイムは公表されていないが、7分台のペースを落とさずに2回周回できる唯一のハイパフォーマンスEVであるという。

また、2025年に登場する新型ポルシェ718シリーズ(ボクスター/ケイマン)はEVをメイングレードに据えた展開となる予定。当然、ニュルでのタイムアタックを敢行してのお披露目となるだろう。

画像: 2025年には次世代718ボクスター/ケイマンにEVモデルも加わる(写真はそのテストベッドと噂される現行ケイマンベースの「GT4 e-パフォーマンス」)

2025年には次世代718ボクスター/ケイマンにEVモデルも加わる(写真はそのテストベッドと噂される現行ケイマンベースの「GT4 e-パフォーマンス」)

欧州市場への攻勢を強める中国のプレミアムブランドの動向も気になるところ。BYD系のYangWangやZEEKRを筆頭に、欧州市場開拓を目指すプレミアムブランドが圧倒的なバッテリー技術を武器にしてパフォーマンス競争に本格参戦してくることは必至と思われる。2024年から25年にかけて、EVの世界は新たなフェイズを迎えそうである。

This article is a sponsored article by
''.