軽量化を狙い、シングルモーターの前輪駆動を採用
プラットフォーム(AmpRスモール:旧CMF-B EV)やボディ骨格は、新型サンクと共用される。今回の発表では全長が“β”より60mm短縮された3990mmであることが明かされたが、周辺からはさまざまな情報が漏れてきている。あくまで確定情報ではないことを断りつつ、“β”と市販車を比較してみる。
まずは駆動方式だ。“β”では前輪左右を独立したモーターで駆動するツインモーターだったが、市販車は前輪駆動シングルモーターになる。おそらくルノー・メガーヌE-TECHエレクトリックに搭載される160kW(約218ps)/300Nmがベースになる。より高効率化が進み、ユニットの小型・軽量化も進められる。
さらに、サーキット走行などに適したブーストモードが設定される。また、ヴァレオと共同開発が進むより高出力の次世代モーターを搭載したパフォーマンスバージョンの設定も検討されており、こちらは2027年以降に追加モデルとして発表される可能性がある。
ドライビング制御では、前出のブーストモードのほか回生ブレーキの特性を任意でコントロールするモードも設定。回生優先、ブレーキフィーリング優先、ストッピングパワー優先など、EVならではのコントロールが可能なほか、ワンペダルモードも盛り込まれる。
フロントブレーキには、“β”と同じく対向4ポッドピストンキャリパーを採用し、各種ブレーキモードと緻密に連携するほか、電子制御の油圧バンプストップ技術も導入され、乗り心地を損なわずにハンドリングを向上させるという。
搭載バッテリー容量は必要にして十分なものにとどめられる(サンクと同じく52kWh、WLTPモード航続距離は400km)。車両価格を抑えると同時に、軽量化によるキビキビとしたホットハッチらしいハンドリングに仕立てるためだろう。
エクステリアデザインは、「“β”のイメージは85%踏襲する(チーフデザイナーのラファエル・リナリ氏)」という。特徴のある「X」が印象的なヘッドライトや縦型テールランプも市販モデルに採用されほか、ホイールも20インチ→19インチに変更されるがほぼ同じ意匠を継承する。
上述のとおり、全長は60mm短縮されるが、これはフロントバンパーやリアディフューザーがやや小型化されることを意味している。
一方インテリアでは、“β”の特徴だったセンタードライビングシートは採用されず、オーソドックスな4(または5)シーターとなる。前席はスポーティなバケットタイプが採用されるが、これも実用性を損なうほどではない。また、車両情報のほとんどがヘッドアップディスプレイに表示され、そのコントロールはステアリングスイッチで行う。