2023年12月6日、BMW AGは本国でEVの新型MINI 3ドアにジョンクーパーワークス(JCW)の内外装を装着した「MINI Cooper SE John Cooper Works Trim」を発表した。

ブランニューのMINI EVはフルモデルチェンジだった

世界的に3ドアハッチバックのジャンルは縮小傾向にあると言われ、かつて存在したフォルクスワーゲン ポロやBMW 1シリーズ、ルノー クリオ(日本名:ルーテシア)の3ドアハッチバックはいまやラインナップされていない。日本においてこの傾向はさらに顕著で、新車販売リストのなかで現存しているモデルは片手で数えられるほどだ。

そんな中でも新車販売、そして中古車販売で根強い人気を維持しているのがMINI 3ドアだ。デザインや走行テイストなど個性的な性能に加えて、ガソリンやディーゼルといったエンジンラインナップの多さ、数年前までは6速MT仕様も揃えるなどパワートレーンの豊富さも特徴のひとつである。

そしてハイパフォーマンスモデル「ジョンクーパーワークス」仕様の存在も人気の要素だろう。MINI特有のゴーカートフィーリングはそのままに、エンジンパワーを高めてサーキット走行も視野に入れた高い走行性能を実現するボディワークはファンを魅了してきた。

画像: EVのMINIはこの3ドアのほかにも、SUVのカントリーマンやクロスオーバーモデルのエースマンも存在する。

EVのMINIはこの3ドアのほかにも、SUVのカントリーマンやクロスオーバーモデルのエースマンも存在する。

そんなMINIだが、2030年にEVメーカーになることをBMW AGは2021年に宣言。そこから新しいEV MINIの存在が少しづつ明らかとなり、2023年9月、ついにEVとなった3ドアのMINI クーパーEとMINI クーパーSEが公開された。

とはいえ、海外では2019年から従来モデルのEVバージョン「MINIクーパーSE」が販売されていたため(日本未導入)、厳密に言えばフルモデルチェンジということになるのだろう。

画像: 英国では今も販売されている従来型の「MINIクーパーSE」。32.6kWhのバッテリーを搭載して、航続距離は約225〜233km。

英国では今も販売されている従来型の「MINIクーパーSE」。32.6kWhのバッテリーを搭載して、航続距離は約225〜233km。

英国ではすでに販売をスタートしている

さて新型だが、直線的なガラスや前後ピラーのラインなどの伝統を引き継ぎ、ひと目でMINIとわかるシルエットとなっている。それでも細部をよく見ると、デザインのシンプル化が図られているようだ。

MINIのアイコンにもなっている丸型ヘッドライトの円周は従来、クロームパーツで縁取られていたが新型にはなく、デイタイムランニングライトのリングがより目立つ仕様になっている。このほかにもフェンダーアーチモールはボディパネルに統合されてボディ同色に、またフロントフェンダーは1枚のパネルになってサイドスカットルを廃止するなど、プレーンな面構成がなされている。

画像: テールランプのユニオンジャックをモチーフとしたデザインは、従来モデルから継承する。

テールランプのユニオンジャックをモチーフとしたデザインは、従来モデルから継承する。

ボディサイズはほとんど変わっておらず、全長3858×全幅1756×全高1460mm、ホイールベース2526mm(英国仕様)という数字はいずれも従来から15〜30mmほど大きくなっただけ。それでも、エンジンを搭載しないためにボンネットフードを短く、前後オーバーハングを短縮するなどEVらしいプロポーションとなっている。

前述のとおりグレード展開は「クーパーE」と「クーパーSE」の2種類が用意され、前者は135kW(184ps)/290Nmを発生するモーターと40.7kWh容量のバッテリーを組み合わせて305kmの航続距離を実現。後者は高性能バージョンにあたり、160kW(218ps)/330Nmのモーターと54.2kWh容量のバッテリーを搭載し、航続距離は402km(いずれもWLTPモード)となる。Bセグメントハッチバックとしては標準的なバッテリー容量で、300〜400kmという航続距離も使い方によっては十分な性能と言えるだろう。

ちなみに英国ではすでに販売されていて、車両価格は3万〜3万6700ポンド、日本円に換算すると約560万円〜680万円となる。

赤、白、黒を組み合わせたモータースポーツルック

そして、今回発表されたのが高性能バージョンであるクーパーSEをベースにしたMINI Cooper SE John Cooper Works Trimだ。実はこの仕様もすでに英国のMINI HPでは掲載されていて、3万8000ポンド(約705万円)に設定されている。さすが本国、展開が早い。

気づいている読者もいるだろうが、このモデルは走行性能を高められたジョンクーパーワークス(JCW)仕様ではない。JCWの内外装をまとったモデルであって、英国では「MINI Cooper SE Sport」の名称が与えられていた。

それでも2本のボンネットストライプやスポイラーが装着され、また八角形グリル内の構造も標準仕様とは異なり、フロントマスクでスポーツ性をアピール。またJCWで恒例となっている大型のルーフスポイラーやU字スポークのホイールなど、変わらないデザインが見受けられるのも嬉しいポイント。

画像: サイドスカートやリアデフューザーも、空力を意識したデザインに変更されている。

サイドスカートやリアデフューザーも、空力を意識したデザインに変更されている。

インテリアはJCWの伝統的な色の組み合わせである赤・白・黒による構成がなされていて、インパネ全面に張られているニット生地やシートのショルダー部分、ハンドルスポークに配色されるなど、スポーツ性を期待させる仕様となっている。

今回はあくまで標準仕様をベースとしたモータースポーツルックモデルであるが、強力なパワートレーンを搭載した本格派スポーツモデル「JCW」の登場も噂されている。今後の展開が楽しみである。

MINI クーパーSE(英国仕様) 主要諸元

ボディサイズ:全長3858×全幅1756×全高1460mm
ホイールベース:2526mm
車両重量:1680kg(1615kg)
最高出力:160kW/218ps(135kW/184ps)
最大トルク:330Nm(290Nm)
バッテリー容量:54.2kWh(40.7kWh)
WLTPモード航続距離:402km(305km)
※()内はクーパーE

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