1995年から開催されている日本EVクラブ主催の「EVフェスティバル」は、2020年から開催地をつくばサーキットから東京お台場の国際交流会館に移しており、今年も11月25日(土)に開催されました。その時の模様から、特にEVシンポジウムを中心に報告します。(タイトル写真は、手作りEV・メーカーEVの展示風景。日本EVクラブ提供)「日本EVフェスティバル」のオフィシャルページはこちら https://evfestival.jevc.gr.jp/

i-MIEVとリーフしかなかった時代が長らく続いた

電動カートやコンバートEVしかなかった時期が長く続きましたが、やがて三菱i-MiEVと日産リーフが登場した2009〜2010年の夜明けをへて、EVだけでなく三菱アウトランダーなどのプラグインハイブリッドや、ホンダクラリティ、トヨタミライといったFCVもフェスティバルを彩ってきました。欧州でEVの先駆けとなった斬新な設計のBMW i3が出たのが2014年で、その後フォルクスワーゲンのディーゼルゲート(排ガス不正事件)を境に欧州製のEVが増え始め、ゴルフEVやテスラモデル3、ジャガーI-PACE、メルセデスEQC、アウディe-tronなどが続きました。

コロナ禍の2021年には、HONDA eやプジョーe-208などのスモールEVが、2022年には日産サクラ/三菱eKクロスEVの軽乗用EVが補助金適用で200万円を切る価格で発売されて人気となりました。さらに、トヨタとスバルからbZ4X/ソルテラが、マツダからはMX-30が発売される一方、EVへの転換を急ぐドイツ勢のラインアップは大きく拡大し、メルセデス・ベンツもBMWも現在7車種のEVを販売しています。 韓国のヒョンデや中国のBYDも参入しEVの品揃えは一挙に拡大して、今年1〜10月のシェアはPHEVと合わせて3.5%に達しています。

来年は、2024年トヨタ・ダイハツ・スズキが共同開発したハイゼットをベースとした軽商用EVやホンダから「N-VAN e:」がローンチされます。また、この秋のジャパン・モビリティーショー(JMS)で披露された国産メーカーの次世代のEVが2026年頃までに相次いで登場します。

自動車メーカーは系列ディーラーだけでなく、オープンな試乗機会を設けて積極的にアピールしており、EVの加速の良さやスムーズなモーター駆動を味わう機会は格段に増えました。EVの購入対象は、新車価格だけでなく、ランニングコストや再販価値、充電インフラなどをよりシビアに検討する一般顧客になりつつあります。

画像: 最新EV・PHEV試乗会はモータージャーナリストを助手席に当日予約で気軽に乗れる。(写真:日本EVクラブ)

最新EV・PHEV試乗会はモータージャーナリストを助手席に当日予約で気軽に乗れる。(写真:日本EVクラブ)

「EVに切り替えれば済む話ではない!」

EVフェスティバルもEV啓蒙の役割は一段落し、お台場に会場を移してからは、EVの普及の課題やモビリティ社会の未来といったより大きなテーマを考えるシンポジウムがメインになってきました。今年7月の白馬EVラリーでは、EVの充電インフラについて「目的地充電」や「経路充電」などに踏み込んだトークショーがありましたが、今回のシンポジウムでは、EVのある未来の都市環境のあり方やエネルギーマネジメントの一環としてのEVの役割などがテーマとして取り上げられました。

シンポジウムの冒頭で舘内代表は、欧州の都市はクルマから歩行者や自転車を中心にした交通に変貌しつつあり、「EVにすれば問題が解決するわけではない」という問題意識を提示しました。パリやベルリンなど欧州の都市交通の変化は、「(EVは)これまでの『移動の機関』という狭い枠組みを打ち破り、『生活』とダイレクトにつながることで、21世紀の新しい都市が輝けることを示している」、日本でも自治体や他の産業とともにモビリティの未来を考えようと呼びかけました。

基調講演に立ったのは、「V2Xを活用したエネルギーマネジメント」と題してプレゼンテーションした本田技研工業の椛澤 明(かばさわ あきら)さんです。アコードハイブリッドのモーター設計や「FIT EV」の開発主査をされた経歴を持ち、現在はコーポレート戦略本部のエネルギー事業開発部のGr.リーダーです。

画像: 基調講演をする本田技研工業株式会社の椛澤 明氏。クルマの説明は一切なく、EVをエネルギーエコシステムの中でどう活用するかにフォーカスした斬新な内容だった。

基調講演をする本田技研工業株式会社の椛澤 明氏。クルマの説明は一切なく、EVをエネルギーエコシステムの中でどう活用するかにフォーカスした斬新な内容だった。

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