海洋シリーズに加わる最新モデル、広州モーターショーで発表
11月17日から20日に開催される広州モーターショー(Auto Guangzhou 2023/広州国際自動車技術展 2023)で、BYDが新型のミディアムクラス クーペSUV「シーライオン 07(Sea Lion 07)」を発表する。実車の発表に先駆けて同社はティザースケッチを公開したが、そのアグレッシブなデザインは欧米メディアをも巻き込んで早くも大きな話題となっているようだ。
EV世界販売台数ナンバーワンの座を巡り、米国テスラを猛追する中国BYD。矢継ぎ早にニューモデルを送り出す同社の最新モデルが「シーライオン07」である。“Sea Lion(シーライオン:アシカの意)”という車名からわかるとおり、シーライオン 07は、日本でも発売されたばかりの「ドルフィン」(イルカ)を始め、「シール」(アザラシ)、「シーガル」(カモメ)など、海洋生物にちなんだ“海洋シリーズ”のひとつ。ちなみにBYDではより上級セグメントを狙った車種ラインナップもあり、こちらは“王朝シリーズ”と呼ばれている。
ダイナミックな直線とエレガントな曲線のコントラスト
デザインを手掛けたのは、アウディやランボルギーニで辣腕をふるったヴォルフガング・エッガーが率いるチーム。2024年春頃に国内で発売予定の4ドアセダン「シール」も同デザインチームの作品だ。シーライオン 07は「Ocean X Face」と呼ばれるシールに似たデザインを採用するが、曲線基調でまとめられたシールに対して、よりダイナミックな直線基調でまとめられている。巨大なグリル開口部は、ハイパフォーマンスカーのようだ。
対して優雅なアーチを描くルーフラインは、SUVとしては明らかに低い。ダイナミックな直線が織りなすボディラインとのコントラストが興味深い。
リアエンドもフロントと同じくアグレッシブなデザインだ。詳細は不明ながらも、下回りはディフューザー形状に仕立てられており、空力性能にも十分配慮されていることを窺わせる。
上級セダン「シール」との共通点も多い?
現段階でスペックなどは一切公表されていないが、現地メディアなどによると、搭載されるバッテリー、モーターの出力、駆動方式などはシールに準じているようだ。ただし、全長はシールよりも大幅に短くホイールベースも短縮される。ちなみに、来春に日本で発売される予定のシールのスペックは以下のとおり。
・全長×全幅×全高:4800×1875×1460mm
・ホイールベース:2920mm
・電池容量:82.56kWh
・駆動方式:AWD
・モーター出力:230kW<160kW(前)/230kW(後)>
・航続距離:555km(欧州WLTP値)
シーライオン 07に採用されるプラットフォームは、アット3やシールと同じくBYD独自開発の「e-Platform 3.0」。搭載バッテリーはもちろん内製のLFP「ブレードバッテリー」だ。電池容量や駆動方式は不明だが、おそらくシールに準じたシステムが搭載されるはず。AWDモデルならば、モーター出力は合計230kW(約313ps)となかなかに強力である。
想定しているライバルは、もちろんテスラの「モデルY」。量販価格帯である海洋シリーズをさらに充実させて宿願の“テスラ超え”を狙う。BYDは2025年にEVで世界ナンバーワンブランドになる目標を掲げているが、その達成に向けたラインナップの拡充を目指している。現地メディアによる予想価格は19万元(約394万円)〜20万元(約415万円)。日本で発売されるかどうかはいまのところわかっていない。