「ジャパンモビリティショー(JMS)2023」の見どころは多数あるが、とくに注目すべきは次世代モビリティ関連の展示ブースだろう。中でも目を引いたのはTHK株式会社で、そこに展示されていたEVプロトタイプ、「LSR-05」の完成度の高さには驚かされた。このEVプロト誕生の背景とその中身について開発責任者に話を聞けたので、その報告をしよう。

クオリティの高い内外装には驚き

THK株式会社(以下、THK)は1972年に創業された機械メーカーで、世界で初めて「直線運動案内」という“ベアリングの回転運動に対して直線運動をする転がり軸受け”を開発した。この技術をベースに現在では一般産業機器、半導体製造装置、自動車部品など幅広い分野を手がける総合機械部品メーカーとなっている。

EVプロト「LSR-05」の車名の由来は“Luxury、Sport、Revolution”で、「05」は創業50周年の数字を逆にしたものだそうだ。そして、開発目的は自社製品であるアクチュエータなどの評価、アピールをする目的だという。これはソニーが現在のアフィーラにつながる「VISION-S」をお披露目したときの台詞に似ている。

しかし、その出来映えの良さ、クオリティの高さを目の当たりにすると、それはもったいないと思ってしまうほどだ。走行テストなどを重ねている最中でもあると聞くと、さらにその思いは強くなる。

画像: SN DESIGN PLATFORMによるデザインは“さすがにレベルが高い”と思わせる。

SN DESIGN PLATFORMによるデザインは“さすがにレベルが高い”と思わせる。

そう思わせる要因として大きいのはまずデザインだが、これは内外装ともに株式会社SN DESIGN PLATFORMが手がけたそうだ。この会社はいすゞと日産で活躍したデザイナー、中村史郎さんが設立したもので、さすがにいい仕事をすると思わず納得させられる。自ら「クロスオーバー4シータークーペ」と名乗るが、ボディサイズは全長×全幅×全高が4995×1965×1530mmで、テスラモデルSとほぼ同じくらいで存在感をアピールする。

従来のクルマとはひと目で違うと思わせる美しく未来感覚あふれるスタイリングはもちろん素晴らしいが、観音開きのドアを開けて入るインテリアはただ美しいだけではなく、機能性も高いことがよくわかる。そして、細かい部分まで高いクオリティで仕上げられている。

THKの技術を活かしたインホイールモーターを採用

そして、シートの座面内部とフロア接合部にはTHKの「直動運動案内」が使われており、これがコンパクトな設置面積でありながらロングストロークを可能にしているとのことだ。さらによりよい乗り心地に貢献するアクティブサスペンションやMR流体減衰力ダンパー、電動ブレーキ、非接触給電システムなどにTHKの技術が採用されているという。

画像: リア両輪にはインホイールモーターが採用されている。

リア両輪にはインホイールモーターが採用されている。

また、駆動用モーターはフロントのオンボードにひとつ、リア両輪はインホイールモーターとなっているが、ここにはTHKの高剛性ボールねじスプラインが使用されている。そしてリア操舵も可能で4WDで4WSという。出力はフロントが220kW(300ps)、リアがそれぞれ93kW(125ps)なので、トータル400kW(550ps)あまりになるとのことだ。

現状でEVに求められる機能をすべて盛り込んだ上で、中村史郎さん率いるSN DEAIGN PLATFORMがデザインを仕上げたこのモデル、これからJMSへ行こうと考えているのであれば、ぜひ見て欲しい。

開発責任者も「開発でここまでお金をかけたことはない」という。お金だけでなくかけた情熱も半端ではないことがよく伝わってくる。展示ブースは入口からいちばん遠い東7ホールになるが、足を運ぶ価値は十二分にあるだろう。

This article is a sponsored article by
''.