道路/車載デバイス間の連携機能の課題を克服
こうした走行中給電技術を実用化するにあたり、次に障壁として立ちふさがるのが、どの車両でも使える高い汎用性と送電効率である。
汎用性については、送電設備の共有によりインフラコスト低減を実現するために、あらゆる車両がどんな状況でも受電できるシステム作りが欠かせない。今回のシステムでは、各車両搭載のデバイスと送電設備間が通信し、送電/受電をコントロールすることで対応する。
また、今回の実証実験で使用される車両は、EV仕様に改造されたハイエースとRAV4の市販PHEVモデルの2車種で、両車ともバネ下に装置を後付けしている。実験用に専用設計された車両ではなく、一般的に販売されている車種に後から搭載できる点で、実用化に向けた低コスト設計への期待も膨らむ。
もう一つの懸念点である送電効率についても、公道での実証実験とその後の実用化を見据えて十分考慮されたものとなっている。
スマホの置くだけ充電だとコンセントに繋いでる間中ずっと電力を消費しているものが多いが、「クルマ版置くだけ充電」だとすると、クルマがいない間は消費電力が無駄になってしまうだろう。
しかし、今回のシステムでは、充電用コイルの100m以内に対象となる車両が接近してきたら、路面のコイル制御装置と車載装置が4G通信を行うことで送電スタンバイ状態になり、車両が送電コイルの上にきたら、送電コイルがセンシングでそれを検知して送電を開始する仕組みを採用しているため、待機時間の電力ロスが生まれないように設計されている。
また、直上に受電コイルがないと送電しないが、送電すればその効率は96.4%以上と、ワイヤレスでない一般的な充電器と遜色ない水準まで高められているので無駄がない。