2023年10月3日、千葉県柏の葉キャンパス駅近くで日本初となる「公道での走行中給電実証実験」が開始された。この試みは東京大学、柏市、その他の協力機関が共同で行うもので、5年後の2028年の実用化を目指している。

走行/停止中の充電時間で足りるのかという問題

ここで浮かんでくるのが、交差点での停車でも数十秒、走行中の充電なら1秒あるかないかという極めて短い時間で、充電が足りるのかという疑問である。

そこで、東京大学が神奈川県内の主要幹線道路における公道走行データを分析したところ、信号機の手前30mまでの範囲に、全走行時間の25%の時間クルマが滞在していたことが判明した。

画像: 少なくとも神奈川県の幹線道路では、全体の25%の時間を交差点手前30m以内で過ごしているのだ

少なくとも神奈川県の幹線道路では、全体の25%の時間を交差点手前30m以内で過ごしているのだ

このデータをもとにシミュレーションを行うと、すべての信号の停止線手前30mに給電設備があれば、電費7km/kWhの乗用車の場合だとワイヤレス給電のみで十分電力を賄うことが可能という結果になった。

今回の実証実験のルートとなる柏の葉シャトルバスで試算した場合でも、理論上はワイヤレス給電のみで運行できるということになり、EVの最大のネックとなる充電の手間や時間から解放された、新しいEVの使い方が実現できるとしている。

画像: 理論上は走行中給電のみで運用可能だが果たして...

理論上は走行中給電のみで運用可能だが果たして...

また、地面に埋め込む設備ゆえに充電インフラ問題の解消につながる可能性もあり、都市部での相性が良いシステムと言える。

反面、交差点の少ない地方や人口の少ない山間部などでは、その特徴を生かせないシチュエーションが多くなってしまうかもしれないが、純粋な充電器として職場やコンビニなどに導入できれば、手間のかからない急速充電器としてのメリットも生かせるのではないだろうか。

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