英プレミアムメーカーのジャガーが、ガソリン車4モデルの受注受付けを2023年内に終了することを発表した。2025年にはピュアEVラグジュアリーブランドとして新たなスタートを切る。また電動化の先頭を走るボルボも、2024年初頭をもってディーゼルエンジン車の生産終了を発表。内燃機関搭載車の終焉がいよいよ現実味を帯びてきた。欧州メーカーの動向を中心に、脱エンジンのロードマップ、そして日本のユーザーへの影響を再点検してみたい。(タイトル写真は2023年12月19日に受注受付を終了するジャガーXE)

日本で規制を受けるのは純内燃機関車のみ。HVやPHEVは対象外

翻って日本はどうか。まず2030年に東京都が純内燃機関の新車販売を禁止するが、全国的にそれが施行されるのは2035年だ。しかも、欧州と異なり内燃機関とモーターを組み合わせた「ハイブリッド」、「プラグインハイブリッド」は継続して新車販売が可能である。

現在、国内メーカーで内燃機関の生産終了時期を明示しているのはレクサスとホンダのみだ。

レクサスは2030年にフルラインEV化し、欧州/米国/中国ではピュアEVブランドにシフトする。その他の地域では内燃機関も残すものの、2035年には日本も含めグローバルで完全EV化を達成するのが目標だ。

ホンダは2040年に乗用車の世界販売すべてをEVとFCEVにすると明確にしている。2030年までにグローバルでEV30車種を展開する目標を掲げている。さらに2040年代半ばには2輪のガソリン車も全廃することを明らかにしている。

画像: ホンダは2030年にEV生産台数を200万台以上と見込む。2040年にはEV/PHEV100%メーカーになる。

ホンダは2030年にEV生産台数を200万台以上と見込む。2040年にはEV/PHEV100%メーカーになる。

一方、最大手のトヨタは2050年にカーボンニュートラルの達成を謳うものの、内燃機関の行く末に関してはまだ言及していない。日産も同様で、同社が推進するシリーズハイブリッドのe-POWERの開発を今後も進めていくとしている。

両社はEVの開発を加速させながらも、それぞれ得意とするハイブリッド技術も継続して進化させ、国内はもちろん輸出先の需要や規制に合わせたパワートレーンの選択肢を用意していく戦略を当面維持していく。

画像: HVとPHEVをラインナップするプリウス。すでに次期型が登場しているであろう2035年(東京都では2030年)以降も日米市場では安泰か!?

HVとPHEVをラインナップするプリウス。すでに次期型が登場しているであろう2035年(東京都では2030年)以降も日米市場では安泰か!?

日本では2035年から新車で購入できるのはEVだけになると誤解されることもあるようだが、実際にはエンジンだけを動力源にするクルマの新車販売が終了し、店頭に並ぶのは広義の“電動車”になると解釈してよい。もちろん、2035年以前に購入した非電動車は、それ以降も問題なく走らせることができる。

欧州ではガソリン車、ディーゼル車ともにあと数年で急速に数を減らしていくことは間違いない。それに伴い、日本国内で販売される欧州車の新車ラインナップもまたEVになっていくだろう。もちろん、ある日突然そうなってしまうわけではないし、内燃機関搭載車の中古車も引き続き店頭に並ぶのだが・・・・。

2035年まであと10年以上もあるが、そのとき日本のクルマ社会はどのように変貌しているのだろうか。そろそろ、真剣に考え始めた方がいいのかもしれない。

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