英プレミアムメーカーのジャガーが、ガソリン車4モデルの受注受付けを2023年内に終了することを発表した。2025年にはピュアEVラグジュアリーブランドとして新たなスタートを切る。また電動化の先頭を走るボルボも、2024年初頭をもってディーゼルエンジン車の生産終了を発表。内燃機関搭載車の終焉がいよいよ現実味を帯びてきた。欧州メーカーの動向を中心に、脱エンジンのロードマップ、そして日本のユーザーへの影響を再点検してみたい。(タイトル写真は2023年12月19日に受注受付を終了するジャガーXE)
米国はPHEVの新車販売は禁止せず。一方でメーカーはEV強化策に邁進
米国では、カリフォルニア州、ニューヨーク州、オレゴン州など13州とワシントンDCで2035年までにハイブリッド車を含むガソリン車の販売を禁止することが決まっている。そこで注目すべきは、プラグインハイブリッド車は除外されているところだろう。つまり、EUとは異なり内燃機関を搭載した乗用車の販売が完全に禁止されるわけではない。
米国が積極的なEVシフトを打ち出してきたのは、現在のバイデン政権になってからだ。2024年に控える大統領選挙の結果次第では、EV優遇政策が後退する可能性もゼロではない。さらに米国ではバイオ燃料(バイオエタノール)の活用も進んでいる。その利用がさらに拡大するようであれば、内燃機関が全廃されることはないだろう。
とは言え、彼の地のEVは現状、テスラの独り勝ち状態。それに危機感を抱くGMやフォードは、それぞれ独自のスタンスで打倒テスラを旗印にEVによる巻き返しを図るようだ。
GMは2035年までにガソリン車を全廃し、同社が開発したEVアーキテクチャー「アルティウム」へ順次置き換えていくことを表明。現地で協業するホンダにもアルティウム・アーキテクチャーを供給するなど、EVシフトを強力に進めている。
一方、ライバルのフォードは、内燃機関撤退の時期には切ってはいないものの、欧州では2026年半ばまでにEVとPHEVを残してラインナップを再編成、2030年からはEVのみとすることを発表している。
ステランティスグループのクライスラーやジープも、新世代EVアーキテクチャーの採用が進む。2030年には米国内でEVとPHEVの販売比率を40%まで高めることが目標だ。