ICカードによる前払い方式が主流だった鉄道やバス路線で、タッチ/QRコード決済の導入(や実証実験の開始)が加速している。現在のところ大都市周辺の大手私鉄が中心だが、今後は地域住民の生活を支えるバス路線や鉄道でもキャッシュレス決済が始まり、観光利用客の利便性も高まる。今回紹介するのは、福島交通と会津バスの取り組みだ。

住民も観光客もキャッシュレスで運賃決済

福島交通と会津バスは、両社が運行する路線バス全車両(約540台)と、福島交通飯坂線の全駅に2024年3月から各種キャッシュレス決済を導入することを2023年8月23日に発表した。

現在、福島交通/会津バスの運行する路線バス/鉄道には、現金またはICカード「NORUCA」以外の決済手段がない(会津バスは現金のみ)。前もってICカードにチャージしたり、小銭を用意したりする必要があるが、地域外からの利用者や観光客は小銭で支払うしか決済手段がなかった。

今回の施策では、福島交通/会津バスの運行する路線バス全車両(約540台)と福島交通飯坂線の全駅に、各種キャッシュレス決済システムを導入。クレジットカード等のタッチ決済(三井住友カードが提供する 「stera transit」を利用)、QRコード決済、電子マネー(WAON、nanaco)での運賃支払いを可能とする。2024年3月をメドに導入する予定だ。

画像: 福島交通の路線バスと飯坂線、さらに会津バスがキャッシュレス決済でスマートな利用が可能に。

福島交通の路線バスと飯坂線、さらに会津バスがキャッシュレス決済でスマートな利用が可能に。

【利用できるキャッシュレス決済(予定)】
■タッチ決済(クレジット/デビット/プリペイド)
Visa、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯
■QRコード決済
PayPay、楽天Pay、d払い、メルペイ、au PAY、J-Coin Pay、Alipay、WeChat Pay
■電子マネー決済
WAON、nanaco、 (※飯坂線のみ交通系電子マネー利用可)
※利用可能な決済ブランド、導入対象等はサービス開始時までに変更の可能性有り。

さらに会津バスは新たにICカード「AIZU NORUCA」を発行し、福島交通が発行するICカード「NORUCA」との相互利用も可能とする(※詳細は後日発表)など、手持ちの決済手段によるキャッシュレスなバス/電車利用が可能になる。

なお、今回のキャッシュレス決済導入にあたってはシステムの運用に、三井住友カード、JCB、QUADRAC、トランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)、レシップなど、交通システムのキャッシュレス化に取り組むおなじみのメンバーが顔を揃えている。交通網のキャッシュレス決済システムのプラットフォームは徐々に整いつつあるようだ。

【利用イメージ】
■路線バスでは
・タッチ決済、QRコード、電子マネーの利用が可能(※NORUCA、AIZU NORUCAによるタッチ決済含む): 乗車時および降車時にカードを決済端末にかざす。
・QRコード決済、電子マネー(WAON、nanaco)の利用が可能:乗車時に整理券を取り、降車時は整理券を投入後、タッチパネルで決済手段を選択。QRコードはカメラにかざし、電子マネーは決済端末を読み取り部にかざす。

画像: およそ540台のバスに対応機器を新設。

およそ540台のバスに対応機器を新設。

■福島交通飯坂線では
・タッチ決済(※NORUCA、AIZU NORUCA含む):乗車時、降車時にカードを改札機の読取部にかざす。
・QRコード決済、電子マネー(WAON、nanaco、交通系電子マネー):
乗車前に各駅に設置するキャッシュレス対応券売機で切符を購入。降車時は駅係員または車掌に切符を渡す。

画像: 福島交通飯坂線の各駅にはキャッシュレス決済用の改札機(左)と券売機を新設。

福島交通飯坂線の各駅にはキャッシュレス決済用の改札機(左)と券売機を新設。

地方交通にもキャッシュレス決済の導入が進むことで、将来は全国の交通網とシームレスな連結決済が可能になり、さらに地域の観光事業(宿泊事業、飲食事業、モビリティ事業など)と連携することによって観光型MaaS(Mobility as a Service)の進展も期待できそうだ。カードとスマホがあればどこにでも移動できる社会は、すぐそこまでやって来ている。

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