町営バスに代わる公共交通として、徳島県神山町が2023年3月に導入した「まちのクルマ」。これを運用するための「まちのクルマ」アプリは、スタートから4カ月で4,500件を超える利用があったという。従来運行されていた町営バスの利用者数を大幅に上回るペースで使われているという。過疎化に悩む全国の自治体にとって、参考になりそうなこのシステムについて紹介しよう。

アプリ導入の背景

公共交通は高齢者のみならず、運転のできない若年層の利用も多く、広い山間地域では、その確保が重要な課題となっている。こうしたことに対応すべく自治体、地域の交通事業者、アプリシステムの開発者などが総合的に公共交通の変革を実現して、従来どおりの利便性を確保するとともに、地域のさらなる活性化にも貢献することが、全国の過疎地域で求められている。

今回、イツモスマイル株式会社が神山町と協力して導入した「まちのクルマ」アプリは、GPSでの距離計算、マイナンバーカード認証によるユーザー管理や本人確認機能を採用している。自治体ごとのルールや利用方法に対応するため、機能の選択や追加が可能なものになっている。

画像: まちのクルマアプリ画面

まちのクルマアプリ画面

また、モバイル端末を利用するため、クルマに新たな機器を装着する必要はなく、導入の初期費用を抑えることができる。さらにこの新たなシステムを導入することで、交通事業者、自治体職員の事務負担が軽減されるということもメリットとして挙げられるという。

アプリではユーザーの個別移動を可能にするため、自家用有償旅客運送車両とタクシーの並行運用として、距離計算方式が取り入れられている。また、乗車予約をデータベースで管理し、交通事業者の配車管理などにも利用可能となっている。

徳島県神山町導入の反響

神山町は住民の高齢化、過疎化の進む山間地域。そこで利用者減少、各集落のバス停へのアクセスの悪さ等、様々な課題を抱えていた町営バスの運行を廃止して、新しい公共交通制度に移行したわけだが、「軒先から軒先まで」の移動を可能にするため、オンデマンド型個別運送を採用し、「病院や買い物に行きやすくなった」、「放課後の活動や土日の子ども同士でのお出かけにも使いやすい」という声が挙がっているとのことだ。

画像: タクシー車両で使用されているようす

タクシー車両で使用されているようす

このアプリは運行実績管理と精算管理の分野でも、交通事業者や自治体職員の事務負担軽減を実現した。住民の利用がアプリ内の認証で完了するような仕様で、それまで事業者、自治体の両担当者が紙のチケットで行っていた利用者確認、利用実績の管理などの業務がデジタル化され、運用側にもメリットが大きいものとなっている。

公共交通のあり方については、それぞれの地域の事情に即したものでなければなかなか普及しない、住民に利用してもらいないというのが実情だろう。そうした中でこの徳島県神山町の取組みは住民の支持を受けつつあることが利用件数からうかがえる。なお、「まちのクルマ」についての問い合わせはここで受け付けている。

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