「MIH(Mobility in Harmony)」と聞いてもピンとこない方は多いだろう。実はこれ、EV開発に向けたオープンプラットフォーム・コンソーシアムなのだ。2023年8月23日の時点で72の国と地域から2688社が参加している巨大なEVアライアンスであり、世界中の英知が結集して自動車生産の歴史を塗り替えようとしている。今秋開催される「ジャパンモビリティショー2023(旧東京モーターショー)」で、いよいよその全貌が公開になる。車体メーカーが牛耳ってきた自動車生産の世界に、とてつもない衝撃を与えることは間違いない。(タイトル画像は今秋、東京で世界初公開される小型EVのイメージ)

得意分野を持ち寄れば、開発・生産はもっと簡単になる

「MIHコンソーシアム」を立ち上げたのは台湾に本拠を置くFoxconn(フォックスコン)グループ。iPhoneをはじめApple製品の製造を一手に引き受ける世界最大のEMS(電子機器受託企業)グループだ。

2020年10月の自社イベントで「MIH(Mobility in Harmony)」というコンセプトを打ち出し、ソフト領域からハードウェアまで世界中から参加企業を募って、それぞれの得意分野を互いに供出し合うまったく新しいEV生産の仕組みを構築することを発表した。

従来の自動車産業は、基本的に“自前主義”である。商品企画・技術開発、設計・車両開発そして生産に至るまで、すべて自社内で行うのが通例だ。EVが主流となりつつある現在でも、それは変わらない。それゆえ、多くの自動車メーカーは開発にかかる時間とコストの圧縮に追われる一方、顕著になってきたSDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア中心のクルマ)の流れに翻弄されている。

画像: MIHコンソーシアムを率いる最高経営責任者のJack Cheng(ジャック・チェン)氏。

MIHコンソーシアムを率いる最高経営責任者のJack Cheng(ジャック・チェン)氏。

だったら、それぞれが得意な技術を持ち寄れば、クルマの開発や生産はもっとスピーディかつローコストで実現できるのではないか。「MIH」の考え方はシンプルかつ合理的だ。

とは言え、ハードウェア領域(プラットフォーム=車台関連)には、安全性や信頼性そして既存の自動車メーカーが積み上げてきた高度なノウハウが多い。膨大なコストと時間そして労力を必要とし、EV業界参入に関心を寄せる企業が二の足を踏む障壁となっていた。

そこでハードウェアとソフトウェアによるEVプラットフォーム規格をあらかじめ構築してオープンソース化することで、コンソーシアムに参加するメンバーは自由にそれを利用するようにすれば、自動車産業への参入障壁はとてつもなく低くなる。プラットフォームと基本ソフトを購入すれば、あとは自社の革新的なソフトウェアとデザインを含めたパッケージングで勝負する。

画像: 去る2022年11月、台湾・台北で開催された「MIH DEMO DAY」にてEV構想のアウトラインを披露した(https://youtu.be/ZyDhn9-Co90)。

去る2022年11月、台湾・台北で開催された「MIH DEMO DAY」にてEV構想のアウトラインを披露した(https://youtu.be/ZyDhn9-Co90)。

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